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世界最大のいじめっ子とその腰巾着


 グランドセフトオートシリーズで知られるロックスターゲームズの作品に、Bully/ブリーというタイトルがある。Bullyとは「いじめっ子」を意味する。プレイヤーは15歳の問題児となり学園生活を送る、という内容のゲームだ。今日のトップ画像はそのブリーのイメージ画像のパロディで、米国を、というか世界を代表するいじめっ子・トランプを当て嵌めてみた。彼が睨み付けている相手を黒く塗りつぶしたのは、その時々で対象が変わるからだ。


 1/4の投稿でも触れたように、トランプ大統領は、米軍にイラク・バグダッドの国際空港を空爆し、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官らを殺害することを命じ、米軍がそれを実行した。イラン革命防衛隊は報復し、イラクに駐留する米軍の拠点をミサイルで攻撃したが、「イランメディアの「ミサイル攻撃で米兵80人死亡」は誤報か 米イラン沈静化の背景 BuzzFeed Japan」などが伝えているように、今は紛争が拡大しそうな雰囲気ではなく取り敢えず一段落している、といった状況だ。
 今のところ両国の指導者らの想定した筋書き通りになっているようだが、戦争はいつも大体些細なことで始まってしまう。何か間違いが起これば、急に戦闘が始まることだってあり得る。


トランプ氏「軍を使いたくない」 報復連鎖避けたい意向:朝日新聞デジタル」によると、トランプ氏は1/8に、
米国は軍を使いたくない。米国の軍事と経済両面の強さが最大の抑止力だ
と、イラン側が行った攻撃に対して米軍による報復攻撃はしない、と示唆する声明を発表したそうだ。軍を使って他国の軍司令官を殺害した男が「軍を使いたくない」なんて、一体何を言っているんだろう?という印象しかない。


米世論、対イラン強硬論優勢 7割超が武力反撃支持―ロイター調査:時事ドットコム」によると、ロイター通信は1/7に、
イランが米軍に先制攻撃を仕掛けた場合の対応で、米国民の7割以上が「軍事力で反撃すべきだ」と回答したとする世論調査結果を公表した
そうだ。「イランが米軍に先制攻撃」?一体何を言っているのだろうか。どう考えても先に手を出したのはトランプ氏と米軍だ。この調査結果が実態に即しているとしたら、トランプ氏の認知が歪んでいるだけでなく、米国民も似たようなものと考えるべきだろう。


 トランプ氏は常に他国/他地域/他民族を標的にして攻撃をしてきた。大統領選挙ではメキシコや移民/難民を卑下することで支持を得た。就任後はイスラム教徒やイスラム教国を標的にして入国を制限し、まるでイスラム教徒=テロリストかのような表現を繰り返した。次に標的にしたのは北朝鮮だ。北朝鮮を擁護するつもりは一切ないが、脅威を強く煽り、日本の首相もそれに乗じて同種の主張を展開した。一転して北朝鮮と会談を始めると、今度は中国と貿易戦争を始めたが、それも今は一段落し、今はイランが彼の主な標的になっている。イランの次に彼の標的になるのは一体誰/どこだろうか。彼の主張が一から十まで全ておかしいとは決して言えない。しかしどう考えても彼は「いじめっ子」だ。しかも世界規模の。
 日本の首相は、都合がいいから乗じている部分もあるだろうが、多分「標的にされないように」と迎合している部分もあるだろう。トランプ氏のやることに対して、安倍氏が称賛することはあっても批判することはない。「標的にされないように」迎合していることを、上手く立ち回っていると受け止める人もいるだろうが、自分にはトランプの思う壺だとしか思えない。


 「東京新聞:全関係者に外交努力求める イランの駐留米軍基地攻撃で菅氏:動画ニュース(TOKYO Web)」は、

菅義偉官房長官は(1/8の)記者会見で「日本政府として全ての関係者に緊張緩和のための外交努力を尽くすことを求める」と述べた
と伝えているし、「米イランに自制促す 自衛隊派遣、変更なし―安倍首相年頭会見:時事ドットコム」にも、安倍氏が1/6の念頭記者会見にて、
事態のさらなるエスカレーションは避けるべきで、全ての関係者に緊張緩和のための外交努力を尽くすことを求める
と述べたとある。しかし同記事には
海上自衛隊を中東に派遣する方針に現時点で変わりがないことも明らかにした
ともあり、 1/11に海自の哨戒機2機を中東へ派遣した(海自哨戒機が中東へ出発、日本関係船舶の安全確保へ TBS NEWS)。


 首相や官房長官は「全ての関係者に緊張緩和のための外交努力を尽くすことを求める」と言うのに、自衛隊の中東派遣は止めない。自衛隊は日本国内では「軍ではない」という建前だが、他地域から見れば世界第6位の規模の、れっきとした軍隊である。このタイミングでの自衛隊中東派遣、つまり他国が軍隊を派遣することは、緊張を高めることはあっても緩和につながるなんてありえない。しかも彼らは自衛隊を国防”軍”とする改憲案を示した人達である。彼らの中ではどのようにこれらの整合性をとっているのだろうか。


 トランプは世界最大のいじめっ子で、その思う壺か、若しくは都合よく迎合しているのかは定かでないが、どちらにせよトランプに乗じてしまう日本の首相が、イランと米国の架け橋になるなんて到底無理だし、中東の緊張を緩和することも出来る筈がない。
 安倍氏は、情勢悪化を理由に一度は中東訪問を躊躇したのに、イランと米国の緊張が一段落したら急に「やっぱり行く」と言い始めた。そんな顛末だって当然国外にも伝わっているのだから、訪問地域ではその程度の人間としか認識されないだろう。


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