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国会を見て思う、今の日本は地獄のような状況だ。


 2020年の通常国会が1/20に始まった。まだ4日しか経っていないのにも関わらず、連日信じ難い話ばかり聞こえてくる。この場合の「信じ難い」は、真実が報道されているかどうか疑わしい、という意味ではなく、聞くに堪えない話ばかりが聞こえてくる、という意味だ。国会が始まって、日本は地獄のような状況だ、と再確認している。
 相変わらず報道各社の世論調査では50%前後の内閣支持率があり、その理由は「他よりよさそう」がトップだそうだが、今の首相・内閣・与党が「他よりマシ」なのであれば、日本の政治家、というか有権者なら誰でも政治家になれるので、日本の有権者は驚異的なレベルの低さだ、と言わざるを得ない。


 首相の施政方針演説に関しては1/22の投稿で取り上げたので割愛するが、安倍氏はその演説でも嘘や誇張を散りばめていた。

 まず最初は、それぞれ不祥事によってわずか数ヶ月で大臣を辞任し、辞任の際に出来る限り説明するなどと述べていたにも関わらず、その後臨時国会すら欠席して公の場に出てこなかった河井前法務大臣とその妻杏里議員、菅原前経産大臣らが登院したが、正式な記者会見の場を設けるでもなく、ぶら下り程度の会見で揃いも揃って「捜査中なので説明できない」という旨の見解を示したことだ。臨時国会を欠席したり公の場に出てこなかった理由についても揃い踏みで睡眠障害・適応障害などとした。

河井前法相 2か月半ぶり登院 離党や辞職は「全く考えていない」 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン

菅原前経産相、議員辞職を否定 公選法違反疑惑、説明避ける:時事ドットコム

河井案里議員が登院「区切り付いたら説明したい」 - 毎日新聞


 3名とも議員辞職は否定しているし、公選法違反については説明していない。では何故河井前法務大臣や菅原前経産大臣は大臣を辞職したのか。やましいことがないのなら大臣を辞職する必要はなかったはずだ。そして、これまで一体何人の自民党議員が疑惑について、折を見て、若しくは求められれば説明する、と述べそのまま有耶無耶にしてきたか。寧ろそのように述べた者で、実際に具体的に説明した者などいないのではないか?という印象すらある。党総裁でもある安倍氏が「丁寧に説明」という表現を形骸化させた張本人なのだから、同党がこんな状況になるのも無理もない。
 1/18-19には大学入試センター試験が行われ、今年も不正行為があり、不正を行った受験生には全教科無効の処分が科されたという報道があった(センター試験で「検索しよう」、スマホを両足に挟み電源入れる…全教科無効に : ニュース : 教育 : 教育・受験・就活 : 読売新聞オンライン)。受験生が不正を犯せば相応の処分が科されるのに、選挙で不正を行った政治家は議員辞職もせずに続けられる社会は、果たしてまともと言えるだろうか


  1/21の記者会見で自民党の二階幹事長は、「桜を見る会」の招待者名簿管理で公文書管理法などに違反したとして内閣府人事課長らが処分を受けた問題について、政務三役の処分は必要ないとの認識を示したそうだ。

政治家の処分不要 自民党の二階幹事長:時事ドットコム


二階氏は
役所の仕事の細かいことは政治家には分からない。分からないことで処分するわけにはいかない
と述べたらしい。役所の仕事が分かっていない政治家にどうして大臣が務まるだろうか。つまり行政を管理監督できるだろうか。バカも休み休み言って欲しい。再確認しておくが、この老人は自民党の幹事長である。

 二階氏は1/22の代表質問で、立民・枝野議員が「桜を見る会」の問題を追及したのに対して、
桜はもう散った。早くこの問題から次の建設的な議論に移していかないといけない
マスコミが取り上げてくれるから嬉しがってやっている。こんな程度でしょう
とも述べた。

二階氏「桜はもう散った」 立民の代表質問に苦言 - 産経ニュース


次段で示すように、これまで内閣府や官房長官が「ない」としてきた文書の存在が明るみになったばかりなのに、一体何を根拠に「桜はもう散った」などと言っているのだろうか。これを聞いて「二階氏は桜を見る会の問題を有耶無耶にしたくて仕方ない」と感じない人がいるとしたら、鈍感にも程がある。彼が幹事長でいられるということは、自民党には鈍感な者しかいないのだろう。


 内閣府や官房長官は、これまで「桜を見る会」に関する文書を廃棄済みと説明してきたが、内閣府は1/21に、2011-13年の関連文書が残ってると認めた。これまで招待者数の概数しか説明していなかった、2014-19年の招待者数の内訳を記した文書も新たに示した。

「桜を見る会」廃棄されたはずの内閣府資料あった 2014~19年の招待者数も公表 - 毎日新聞


今の政権で「ない」とされたものが出てくる事例は、自衛隊の日報や官房長官が怪文書と称した加計学園問題に関する文書、裁量労働制に関するデータ等枚挙に暇がなく、そもそも彼らの「ない」には最早信憑性の欠片もないのが実状だが、桜を見る会の問題でも結局こうやっていい加減な説明が繰り返されている。
 他にも、「「桜を見る会」招待、政治枠で膨張 内閣府資料で裏付け:時事ドットコム」という話も明らかになっており、如何にいい加減な話が繰り返されているかが分かる。


 安倍氏は、1/22の衆院代表質問で、「桜を見る会」の招待者名簿を巡り、電子データを廃棄した時期が分かる消去記録について、セキュリティー上の問題から開示しないという見解を示した。

首相、「桜」廃棄ログは開示せず「内容明らかにすれば不正侵入を助長」 - 毎日新聞


安倍氏は
悪意ある第三者等による、不正侵入や不正操作等を検知するための重要な材料になる。内容を明らかにすれば不正侵入等を助長する恐れがある
と述べている。消去記録やログに施されたセキュリティのシステム詳細等を開示しろ、という話ならば不正アクセスを助長する恐れがある、という話も理解できるが、開示請求されているのは廃棄した時期に関するデータであり、安倍氏は全く見当違いの考えを示しているとしか言いようがない。そもそも、開示出来ないログに一体何の意味があるのか。生じた疑惑の潔白を示すことに関わる証拠を秘匿するということは、そこに都合の悪い情報が含まれていると考えざるを得ない。
 二階氏が「役所の仕事の細かいことは政治家には分からない」と述べた件を前段で示したが、安倍氏が役所の仕事を把握していないことを証明している。役所の仕事を把握していない者が7年も首相を務めていたら、国は傾くべくして傾く。

 安倍氏は1/22の代表質問でも、2017年まで5年間分の「桜を見る会」の招待者名簿が内閣府の行政文書ファイル管理簿に記載されていなかった問題について
(登録しなかった)民主党政権当時の11年、12年の措置を前例として、漫然と引き継いだ
安倍内閣において官房長官等から(未記載の)指示や示唆を行ったことはない
と述べた。

首相、違法な桜名簿管理は「民主党政権を前例として漫然と引き継いだ」 - 毎日新聞


 この見解は昨年・2019年12月来、官房長官が示している見解を踏襲したものではあるが、安倍氏自身が見解を示したのは初めてではないだろうか。安倍氏は昨年来、再三に渡り前政権を指して「悪夢の民主党政権」と言い続けてきた。漫然と引き継いだ、が事実だとしたら、同じことを続けた安倍氏の政権も「悪夢の安倍自民政権」だろう。同じ事を続けた期間が長いという風に考えれば、安倍自民政権は「悪夢の民主党政権以下」だ。

 更に安倍氏は、1/23の代表質問で立民・福山議員に、施政方針演説で地方創生の成功例として挙げた島根県のパクチー農家の若者の事例について問われ、
江津市の支援を受けて起業し3年以上居住しており、江津市の企業支援の成功例として演説で紹介した。本人に確認して盛り込んだが、演説で記載した内容以外の事柄については個人的な事情などプライバシーに関わり、お答えは差し控えさせていただく
と述べた。

消えたパクチー農家について首相「お答え差し控える」 施政方針演説で紹介 - 毎日新聞


毎日新聞の記事にもあるように、安倍氏は演説の中で男性の実名をあげていたにも関わらず、それについて問われると「プライバシーにかかわるから答えられない」と言う。これについては官房長官も同様に「個人情報に関わる」という理由で言及を避けている。

地方創生の“成功例”の島根の男性 転居していた TBS NEWS

菅官房長官は会見で、すでに転居している男性を取り上げ、人口増の成功例として紹介するのは不適切では、と指摘されたのに対し、この男性は2016年の7月から「3年以上にわたって居住していると承知している」としたうえで、市の起業支援による成功例として紹介するのは問題ないという考えを示しました。しかし、男性が現在も江津市に住んでいるかどうかは、「個人情報」を理由に明らかにしませんでした。
この事例からも、如何にこの政権が自分達の手柄を誇張するか、そして都合が悪いことから逃げるかがよく分かる。個人情報・プライバシー・不正アクセスの懸念などを、都合の悪いことへの言及を避ける為に万能な免罪符だと勘違いしていると言わざるを得ない。


 1/22の衆院代表質問で、国民民主・玉木議員が選択的夫婦別姓に触れた際、自民党の女性議員から「それなら結婚しなくていい」というヤジが飛んだ。

「結婚するな」の国会ヤジ 与野党議員や著名人から批判相次ぐ


この発言は複数の点で批判されても仕方がないが、少子化対策が急務である状況下でこのようなヤジが飛ぶ、という点だけで考えても明らかに不適切である。発言の主は自民党の杉田 水脈議員という指摘があるが、自民党の森山国体委員長は「本人に問い合わせる予定はない」と言い、杉田氏本人も記者の取材を全く無視している。
ヤジを飛ばしていないなら公然と否定すればいいし、ヤジは飛ばしたが内容に問題はないと考えているのならそう公言すればいい。しかしそのどちらもしない。そして党もその詳細を問わない。そして杉田氏は「LGBTは子を産まないので生産性がない」という見解を示した人物でもある。党はその責任も有耶無耶にしたままだ。選択的夫婦別姓などと言うなら結婚しなくていいという話と、子を産まない者には生産性がないという話は矛盾しているとしか思えない。そしてそのような発言の詳細を問わない、つまり寛容である自民党もかなり人権意識が低い。


 たった4日、というか実質2日足らずの間に、こんなに溜息しかでないような件が相次いで報じられているのだから、日本は地獄のような状況と言っても決して過言ではないだろう。
 しばしば「自民党にもまともな議員はいる、自民党と一括りにして批判するのは良くない」とか、「日本は地獄のようだ、なんて大雑把な括りで揶揄すべきではない」なんて声も聞こえるが、日本人の大半は「いじめを傍観するのは、いじめに加担しているのも同じ」と教えられて育ったはずだ。ならば、党総裁兼首相や官房長官が都合の悪いことには言及せず、幹事長が都合の悪いことを矮小化することに躍起で、国対委員長が差別的な発言を問い質すつもりはないと言っているのに、それに一切苦言を呈さず傍観している自民党のその他大勢は、決してまともとは言えないのではないだろうか。そしてそんな党や政権を他よりマシだとして支持する人が有権者の半分を占める状況に鑑みれば、やはり

 今の日本は地獄のような状況

と言っても、決して言い過ぎだとは思えない。


 トップ画像は、ファイル:Diet of Japan Kokkai 2009.jpg - Wikipedia と、code404によるPixabayからの画像 を組み合わせて加工した。

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