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感染すると攻撃的になるウイルスの蔓延


 西村新型コロナ担当大臣や大阪の吉村知事が「休業要請を無視して営業を続ける店舗名を公表する」と言い出している。要請とはあくまでも「お願い」であり強制ではないはずだ。要請を無視する店を公表するというのは「要請に従わないと晒し者にするぞ」という脅しであり、忖度させよう、実質的に強制使用という意図が溢れており、最早国や自治体が脅迫行為を公然と行っているとしか思えない。

営業継続のパチンコ店名公表へ 西村大臣が危機感

緊急事態宣言から2週間、大阪では休業要請 無視の店公表へ TBS NEWS


感染拡大を抑止する為に休業する必要が高まっているのなら、「要請」とは名ばかりの脅迫行為に及ぶのではなく、休業を強制する措置を充分な補償とセットで講じるべきだ。充分な補償をせずに休業しろと脅す、なんて責任逃れも甚だしい。それどころか民主主義を脅かす行為にすら感じられる。

 そもそも国はこれまで再三にわたり「個別の損失に限定して直接補償を行わない」と言い続けてきた。
しかも、首相と担当大臣が揃って「休業に対して補償を行っている国は世界に例がない」という明らかな嘘まで吐いている(4/14の投稿)。
 各所から様々な批判を受けて、「国民一人あたり10万円支給」や、新型コロナウイルスに対する緊急経済対策として国が地方自治体に配る1兆円の臨時交付金について、事業者への休業補償にあてることに否定的な考えだったことを改めるなど(交付金1兆円、休業補償に活用可 経済再生相が方針転換:朝日新聞デジタル)、補償する方針への転換は見られるものの、どう考えても後手後手だし、国による主体的な対応は未だ見えず、10万円支給という話も、世帯主に一括で支払うとか(DV等によって世帯主との関係が悪い人のことを考えていない)、生活保護受給者にはその分保護費を減額とか(実質的に保護受給者には支援がされない、ということになる)、未だに不急不要な検討をしているような体たらくだ。そもそも、影響が出始めて既に3ヶ月が経過しており、しかも収束の目途も立っていない。実質的な休業要請がされ始めてから数えても2ヶ月が経過しており、10万円というのはあくまでも生活に関する最小限の支援でしかなく、その程度の額では中小零細の経営維持には全く足しにはならない。

 TBSが報じた大阪のケースについては、
休業要請に応じれば中小企業に100万円、個人事業主には50万円の支援金を支払う予定
ともあるが、
補償が限定的なため営業を続けざるを得ない
という声もあるともしている。 勿論、その額で充分な個人経営店などもあるのだろうが、家賃等には地域差もあり、または規模によってはその額では焼け石に水、ということも相応にあるだろう。そうなれば行くも地獄引くも地獄な状況で、休業を要請をされようが営業を続けざるを得ないケースだってあるだろう。また、休業による生活が補償されなれば、アルバイトなどで生計を立てている者は生活が成り立たなくなる。
 大阪の話ではないが、東京の小池都知事は、休止や営業時間短縮の要請などを受けた中小や個人の事業者へ50万円を支給、2店舗以上を有する事業者は100万円という策を表明した。しかし、2店舗でも20店舗でも100万の支援しかされないなら、後者は経営維持の為に休業要請に応じないだろうし、また、休業要請に応じた、と判断する基準について、「4/16から5/6には休業や営業時間短縮を実施」という条件を示したが(東京都の協力金、事業者がもらえる条件は?休業しても受け取れないケースも。簡単に整理した | ハフポスト)、その条件を示したのは前日・4/15の20:00頃だった。これでは対応出来ずに支援を受けられない者が生じる恐れがかなり高い。
 また数日前には、


という話も話題になっていた。これは、SaveOurSpaceの批判や訴えによって撤回されたようだが、いちいちこのような話が出てくれば、政府や自治体の補償などあてに出来ないという認識が生じるのも無理はないのではないか。


 このような意図をもって、自分は前述のテレビ朝日とTBSの記事について、
休業「要請」という体裁の強制・脅迫
ツイートした。するとそれに対して幾つかの反応があったが、その中に、


というツイートがあった。
 このアカウントの紹介文には「とあるレンタルショップ店員」とある。


恐らく不特定多数と接する接客業務にこの状況で従事していることが不安でたまらないのだろう。その所為で前述のような攻撃的なツイートや、「休業要請出てるのに営業を続けるということは【反社会的企業】ですよ!」という極端な主張を、今月作ったばかりのアカウントで自分の素性も晒すことなくしているのだろう。


 今日のトップ画像は、このように新型コロナウイルス感染拡大によって攻撃的になってしまっている人、の存在を意識したものだ。
 文筆家の古谷 経衡さんが昨日こんなツイートをしていた。


 全ての日本人がそのような人である、とは言えないが、間違いなくこの国の一部にはそのような風潮が蔓延している。これについて古谷さんは「”自粛翼賛体制”へのぬぐい切れない違和感(古谷経衡) - 個人 - Yahoo!ニュース」という記事も書いている。
 また昨日は、


と言うツイートもタイムラインに流れてきた。国や自治体が、要請に応じられるだけの充分な支援策を講じないのに「要請」とは名ばかりの脅迫行為に及んでいることは無視して、休業要請出てるのに営業を続けるということは反社会的企業、なんて過激なことを言う人もその類だし、昨日の投稿で触れた「今は大変な時なんだから文句を言うな、つべこべ言わずに政府方針に従え」と言っている人達も、その種の人達だろう。


 今この国では、勿論新型コロナウイルス感染拡大も深刻だが、それ以上に感染すると「攻撃的になるウイルス」も既に蔓延している。寧ろ分断を煽るそのウイルスの方が深刻だ。SNSやメディアなどで暴言を吐くのも問題だが、既に物理的な暴力も問題になっている。


 トップ画像は Gerd AltmannによるPixabayからの画像 を加工して使用した。

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