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 少し前に、所謂バカッターと呼ばれた、不適切な行為の動画や画像のSNS等への投稿が話題になった。当初は、仲間内なら冗談で済むような行為でも、誰でも閲覧可能な状態なWEBで公開することの違いを理解出来ない者による浅はかな行為だったようだが、徐々に不適切な行為と理解した上で、反応を集めることを目的とした過激な投稿も目立ち始めた。

 注目を集める為なら過激な行為や不適切な言説を厭わない風潮は、今も確実に残っている。まとめサイト/トレンドブログを立ち上げ、ゴシップ紙よりも更にいい加減な情報をまき散らす者もいれば、所謂ビジネス右翼と呼ばれる、実際は右派とは全く別モノで、読者など信奉者を増やし収入に繋げる目的で、差別や偏見など過激な言説を撒き散らす者やメディアもある。また、今月の都知事選では、ふざけているとしか思えない候補者がこれまでにも増して多く見られた。

 注目を集める為なら過激な行為や不適切な言説を厭わない風潮は、ネット以前からあったもので、決して昨日今日急に始まったことではない。ネット普及以前、そのような指摘を受けていたのは主にテレビ、特にバラエティー番組だった。

 不適切・不謹慎という批判に常に晒されてきた番組の一つに、テレビ朝日の「ロンドンハーツ」がある。放送が始まったのは1999年で、厳密にはネット以前から続く番組と言えないが、放送開始時はまだまだネット黎明期であり、メディアとしての格も影響力も確実にテレビの方が上だった時期だ。
 同番組のWikipediaページにはこのように書かれている。
日本PTA全国協議会が2011年まで実施していた「子供に見せたくない番組」の調査で毎年上位にランクインされていた(2004 - 2011年まで8年連続で1位。2012年から調査中止)。その理由は、「モラルや常識を極端に逸脱している」、「言葉が乱暴」、「内容がバカバカしい」、「夢がない」が主な理由として挙げている。
確かに決して品のよい番組とは言えないし、最近は減ったものの格付け企画など、MCを務めるロンドンハーツ・田村 淳さんやご意見番的なポジションで出演するタレントらが、女性タレントや若手芸人を貶すことで笑いを取ろうとする場面も多く見られた。そんな理由から「子どもに見せたくない」という評価になることも理解は出来る。しかし個人的には、下品だなと思うものの、排除するべきだと言える程の酷さかと言えば、そこまでではなく、大人があくまでもエンターテインメントだと理解した上で鑑賞するのにも問題がある内容とまでは思えない。
 テレビ制作の予算が減ったことで出来なくなった企画もあるのだろうが、時世に合わせてやらなくなった企画もあり、一応状況に合わせた番組作りをしているようにも見えるし、特に2010年以降はMCの田村 淳さんが年齢とともに徐々に丸くなり、女性タレントや若手などを執拗に貶す場面も減り、相応の内容になっているように感じていた。勿論その分尖った企画も減ってはいる。


 同番組の女性タレントの自宅を訪問する企画で、揚げ足取りが好きな小姑のように埃や水回りのぬめりなどを執拗にチェックする田村さんは嫌いだし、他にも好意的に感じられない面も多いが、一方で最近はNHKのろんぶ~ん(Wikipedia)や、MXテレビの田村淳の訊きたい放題(Wikipedia)など、どちらかと言えば真面目な番組の司会も務めるなど、バラエティー番組の彼はある程度演出されたものであるようにも感じていた。また2019年7/2の投稿でも書いたように、相方の田村 亮さんが反社会勢力との関係を取り沙汰された際の立ち回りの上手さには関心もした。

 2017-18年頃からYoutubeを始める芸能人が増えたように思う。当初は売れない芸能人がテレビ以外の表現の場を求めてというケースの方が圧倒的に多かったが、2019年、特に下半期頃以降は、若者の注目が間違いなくテレビからYoutubeやSNSへ移行していることの影響なのか、テレビ等でも活躍する芸能人も次々と独自のYoutubeチャンネルを開設し始めている。ロンドンブーツ田村 淳さんも、2019年の12月にロンドンブーツとしてのYoutubeチャンネルを立ち上げている。


 バラエティー番組を主戦場とし、他にもレギュラー番組を持つ彼が、Youtubeでどんなことをやるのかが気になってロンドンブーツのYoutubeチャンネルへ登録した。当初はキャンプ企画が多かったものの、徐々に様々な企画をやるようになったが、ロンドンブーツのYoutubeとして、既存の専業Youtuberとも、そして彼らの主戦場であるテレビとも大きな差別化は見られず、個人的にはあまり魅力を感じられなかった。ビュー数を伸ばす為に既にある人気企画をなぞる行為を否定するつもりはないが、お金を稼ぐことを目的に安易な企画を連発している感をおぼえた。とは言っても、キャンプ企画には興味があるのでチャンネル登録は解除せずに、見たい動画だけをチェックしていた。

 人によって認識は異なるだろうが、テレビや雑誌等のメディアで見える有名人の人となりには多少なりとも別の人による演出が加えられており、SNSに滲む彼らの人となりの方がより実態に近いと考えている。つまり、田村 淳さんが主体的に運営しているYoutubeチャンネルで見える彼が、テレビで見る彼よりも実体に近いと思っている。
 次の動画は、田村 亮さんが淳さんの為にプレゼントを買いに行くという内容の、7/7に公開された動画である。


 彼らは長年のお笑い芸人コンビであり、相応の人間関係の下でそのようなことを言っているのかもしれないが、動画の最後で淳さんは、貰ったプレゼントにかなり多くの批判をしている。個人的にはケチを付けていると言っても過言ではないと感じる。このような彼を見ると、バラエティー番組で女性タレントの家にあがり、あれこれとケチを付けていたのは、演出ではなく彼の素の部分だったんだろうと感じられ、面白くないどころか嫌悪感すら覚える。

 しかし、それは自分の単に個人的な好みの問題であり、中には「これは立場を利用したパワハラだ」と感じる人もいるだろうが、こんな動画を公開するのは許せないとか、そんな番組を放送するのは許せない、とまでは思わない。だが、昨日ロンドンブーツのYoutubeで公開された動画は流石に許しがたかった。



 今、堀江 貴文と一緒に何かやる、というのは、ビュー数を稼いでマネタイズする為ならモラルや倫理はどうでもいい、と宣言するのと同じだと思う。堀江は以前から、そして特に近年、SNS等で頻発に暴言を吐いている人物だ。紹介するのが面倒な程枚挙に暇がない。また、今月の都知事選では所謂NHKから国民を守る党の顔を務めている。同党がホリエモン新党と言い始めたことを、堀江自身は許可していないと言っているようだが、同党から彼の運転手などをしていた人物が立候補し、同党の選挙ポスターにも堀江の写真が使われた。
 暴言を厭わず、選挙を話題作りの為に悪用する者と一緒に何かやる、というのはどういうことかをよく考えて貰いたい。同チャンネルの登録は昨日限りで止めることにした。


 トップ画像は、OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像 を加工して使用した。

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