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逼迫を避ける対処こそが重要

 格闘技をやっていたわけでも好きでよく見るわけでもないが、動ける範囲が限定されてしまい、相手の攻撃をまともに受けやすくなるので、ロープ際やコーナーに追い詰められないようにフットワークを使って動き続けるのがセオリーだということくらいは知っている。序盤はどちらの選手もそのセオリーに従って相手の様子を窺うものだが、試合終盤になると劣勢な選手の足が止まり、追い詰められてラッシュを食らう場面をよく見る。


 コーナーに追い詰められても、そこから抜け出す術というのもないわけではない。だができることなら追い詰められないように対処する方が利口だ。逼迫した状況から抜け出す術を身につけておくことも必要だが、そもそも逼迫した状況を作らないようにすることが大切である。
 因みに逼迫するとは、行き詰まって余裕のなくなること、事態が差し迫ることを意味する(逼迫とは - コトバンク)。

 新型コロナ患者の治療に当たる看護師が不足しており、それを補う為に大阪市立総合医療センターは、がんなどを患う15~30代半ばのAYA・思春期や若年成人世代の専用病棟を12月上旬に一時的に閉鎖するそうだ。

コロナ対応で看護師不足 大阪の若年がん病棟が一時閉鎖 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

最近の新型コロナ感染者の急増で医療体制が逼迫(ひっぱく)。重症者を診る同センターや中等症対応のコロナ専門病院の市立十三(じゅうそう)市民病院(大阪市淀川区)で、新型コロナ病床を拡大することになったが看護師が足りないため、同センターを運営する大阪市民病院機構では26日、AYA世代専用病棟を一時閉鎖し、その看護師をあてることにしたという。

 昨日の投稿でも触れた毎日新聞の11/27の記事「GoTo停止 官邸「東京まだ逼迫してない」 札幌・大阪発自粛要請 - 毎日新聞」は、政府が旅行促進政策・GoToトラベルに関して、感染が拡大する札幌・大阪両市から出発する旅行は利用を控えるよう呼びかけたが、

東京の医療体制はまだ逼迫(ひっぱく)していない

として、感染者数は最大なのに東京都を一時停止や自粛要請の対象としないとした、という内容である。感染症対策は格闘技やボクシングよりも更に、コーナーに追い詰められる前の対処が重要である。つまり医療体制が逼迫する以前の対応がとても重要であり、逼迫するまで放置・傍観してから対処するのでは愚の骨頂である。

 厚労大臣が12/1のぶら下がり会見でこんなことを言っている。

田村厚労相 新型コロナ重症者増に危機感 最悪に備え対策を 新型コロナウイルス NHKニュース

医療人材が足りないという話もあるので、看護師や専門医の派遣などもしっかりと支援し、最悪の場合も一定程度、想定をしながら計画を作っていかなければならない

 大阪の病棟閉鎖の件を見れば分かるように、既に逼迫した最悪の状況は現実になっている。なぜ感染拡大が一時的に緩和していた夏の間に、最悪の状態を想定した計画を作っておかなかったのか。最悪の状態になってから「計画を作っていかなければならない」などと平然と言えるのか。しかも一定程度の想定とはなんと悠長なのか。最早、現実をできるだけ直視したくないと言っているようにしか聞こえない。
 ここのところ毎日数十人がコロナウイルスによって命を落としている。こんな他人事の厚労大臣や政府・首相は厳しく言えば人殺しも同然ではないのか。

 これで「コロナウイルスに打ち勝った証にオリンピック開催」などと言っているのだからあきれ果てる。今の具体的な対策をなにもやらない政府は、コロナウイルスと一緒になって国民を殺しにかかる側だ。日本の国民は、コロナウイルスと同時に政府とも戦って打ち勝ったないといけないという、非常に厳しい状況に置かれている。いや、国民の半数がこの政権を支持しているようだから、コロナウイルスと政府と国民の半分が、もう半分の国民を殺しにかかっているというのが実状かもしれない。


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