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誤り・過ちを反省出来ない国

 ニュージーランドのアーダーン首相は2/14、同国で最も大きな都市・オークランドで、新型コロナウイルスの感染者が3名確認されたことを受けて、オークランド市を3日間ロックダウンする措置を講じた。首相は措置について「感染力の強い変異株だった場合に備えた措置で、厳重に注意して行動する必要がある」と説明した(NZ首相、最大都市オークランドをロックダウン 感染者3人確認で 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News)。


 ニュージーランドは、2020年4月末の時点で新型コロナウイルスの感染拡大をほぼ抑え込み、直後に冬季を迎えたが再拡大も起きていない。国外との往来などによって若干感染者が増えることはあったが、それでも20名/日以下に抑え込んでおり、同国の対策が功を奏していることは誰の目にも明らかだ。

 ニュージーランド コロナ - Google 検索

 このような状況の同国が、3人の感染者が確認されたことと、確認された感染が変異株によるものだった場合を想定しロックダウンに踏み切ったのを、日本のことわざで言えば、まさに「勝って兜の緒を締めよ」だろう。オークランドでのロックダウンは、日本の緩い自粛要請とは異なり、学校や企業の閉鎖も伴うものだ。

 勝って兜の緒を締めよは、戦いに勝っても油断することなく、また、成功しても慢心することなく、用心深く事を進めろ、ということを示すことわざである(勝って兜の緒を締めよとは - コトバンク)。したことが上手くいっても浮かれるな、気を緩めると成したことが台無しになりかねない、のようなニュアンスだ。

 
 ニュージーランドとは異なり、兜の緒を締めることができずに新型コロナウイルス対応でしくじったのがまさに日本である。
 日本も、ニュージーランドのようにゼロにはならなかったものの、全国一斉休校や緊急事態宣言などによって、休業を強いられる人や企業などへの援助が不十分であり、講じた措置が及ぼした経済的影響に対するケアがなさ過ぎたなどの問題もあったが、2020年5月末頃に30名/日程度まで感染者数を抑えた。夏季を迎えていたこともあったが、ニュージーランドと日本の人口の差を考えれば、当時は一応対応が成功している国のひとつと言えただろう。

日本 コロナ - Google 検索

 しかし日本は、というか日本政府は、そこで兜の尾を締めなかった。慢心した。6月後半に再び感染者数が増加に転じたにもかかわらず、「旅行自体が感染を起こすことはない、それが起きていれば日本中は感染者だらけ」などとして、当時から既に感染再拡大の原因になりかねない、という指摘があったにもかかわらず、Gotoトラベルなる旅行促進政策を強行した。
 勿論それだけが感染再拡大の要因というわけではなく、経済的影響に対するケアの不十分さから、多くの人が活動再開をせざるを得ない状況になり、つまり経済支援のなさも相まって、2021年1/8頃には8000名/日の感染者を出す事態に陥った。その後緊急事態宣言が再びなされ、グラフ上はその後感染者が激減しているが、濃厚接触者の定義が狭められて検査が絞られているので感染者が減ったように見えている懸念がある。
 現在発表される新型コロナウイルスによる日本での死亡者数は30名/日程度だが、他地域の感染者数/死亡者数の割合に比べ、日本は死亡者の割合が明らかに高い。これはかなり異様ではないだろうか。

 「旅行自体が感染を起こすことはない、それが起きていれば日本中は感染者だらけ」と言ったのは、政府新型コロナウイルス対策分科会の会長 尾身 茂だった。政府は尾身にそう言わせ、Gotoトラベルなる狂気の旅行促進政策を強行したわけだ(2020年11/23の投稿)。その尾身が、昨日・3/4の衆院予算委で

卒業旅行や謝恩会、花見の宴会。これをやるとまた必ず感染が拡大します

と発言していた。

尾身会長「卒業旅行、謝恩会、花見の宴会…必ず拡大」緊急事態宣言2週間延長は「正しい選択」:東京新聞 TOKYO Web

「旅行自体が感染を起こすことはない、それが起きていれば日本中は感染者だらけ」と豪語した者が今も感染症対策の重要なポジションに居座り、「旅行をやるとまた必ず感染が拡大する」などと言っている。尾身は、2020年7月の自身の発言について訂正もしていなければ、間違いも認めていないし、謝罪もしていない。つまり、自分の誤り・過ちを反省も出来ない者が、政府新型コロナウイルス対策分科会の会長という立場に居座っている。それでは収まるものも収まらない。


 そんなのは尾身だけでなく、日本では当初から、積極的なPCR検査は医療コストを圧迫し医療崩壊の原因になる、という言説が目立っていたが、そのような主張をしていた人達が、今もその誤りを認めもせず、未だにテレビや新聞などで我が物顔で新型コロナウイルス対応について専門家ヅラで話している。
 検査抑制論の根源は、恐らく東京オリンピックを強行する為に、感染者数を少なく見せかけようと画策されたものだろう。抑制論者の全てにその意図があったかは定かでないが、どう考えても検査抑制論は正しくなかった。それは、現在日本よりも感染拡大を抑えている地域が軒並み積極的な検査を行っていることを見ても明らかだ。
 にもかかわらず、抑制論を唱えた者、未だに唱えている者が有識者かのようにメディアで起用されている。メディア側、特にテレビ局などは、オリンピックが開催された方が都合がよいから、そんな人達を起用しているのでは?とすら思える。

 そんな人たちが未だに蔓延っていることも、収まるものが収まらない理由だろう。兎にも角にもオリンピックが日本のコロナウイルス対応を後手後手にしていることだけは間違いない。


 トップ画像は、David MarkによるPixabayからの画像 を加工して使用した。

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