スキップしてメイン コンテンツに移動
 

東京オリンピックならぬ、特攻オリンピック2020

 政府は東京オリンピック・パラリンピックに出場する日本代表選手を対象に、新型コロナウイルスワクチンの優先的に接種する方向で検討を始めた、という報道について昨日の投稿で触れたが、その報道からたった2日で、今度は「丸川五輪相「ワクチンを前提にしない大会を準備中」五輪・パラ選手への優先接種を否定:東京新聞 TOKYO Web」という話が出てきた。


 2日前のあれは、世間の反応を見る為の観測気球だったんだろうな、と強く感じる。選手のワクチン接種優先を擁護する、選手たちはたった500人程度だから、優先的にワクチン接種をさせても、その影響は限定的」のような主張も見られたものの、自分が見渡す限りでは、自分も昨日の投稿で指摘した、「優先されるべきは、高齢者や、持病などがあり、感染した際に深刻化が懸念されるような人達と、感染の危険に晒される医療関係者でなければならない」という見解の方が多かった。観測気球を上げたが思いのほか批判の声が高かったから、たった2日前の報道内容を否定する声明を、大臣が慌てて出したのだろう。

 しかし、オリンピック開催の為に参加選手のワクチン接種優先という観測気球を上げ、それに否定的な世論が高まったのに、政府の選択はオリンピック開催断念ではなく、ワクチンを前提にしない大会の開催をあらためて表明すること、だったことに、トップ画像にも用いた、戦中に大政翼賛会が掲げたスローガンの一つ「この一戦、何がなんでもやりぬくぞ」を感じずにはいられない。戦争を始めた側の面子に拘り、どんなに戦況が悪化しても、戦争継続が目的化していた戦中政府や軍部のように、状況がどうあろうが、兎に角オリンピック開催ありきでしか物事を考えない現政権の態度が強烈に滲んでいる。
 大政翼賛会はこれ以外にも「進め一億火の玉だ」というスローガンも用いた(進め一億火の玉だ - Wikipedia)。これは、第1次近衛内閣が1937年9月から行った、国家のために自己を犠牲にして尽くす国民の精神(滅私奉公)を推進する政策・国民精神総動員 - Wikipedia を扇動するもので、この風潮は、戦争末期の所謂特攻へと繋がっていく。
 新型コロナウイルス感染拡大抑止<東京オリンピック開催 な現政権の姿勢を見ていると、東京オリンピック2020ではなく、

 特攻オリンピック2020

 という感しかない。

 
 現政権与党に「この一戦、何がなんでもやりぬくぞ」が蔓延していることが現れているのは、この件に限らない。共産党 山下 芳生のツイートによると、昨夜・4/8のBS-TBS 報道1930の中で、

 というやり取りがあったそうだ。番組Webサイトによると、4/8のテーマは「“変異株”止まらぬ「英国型」の猛威 大阪に続き東京でも…「第4波」か」だったようだ。

BS-TBSのYoutubeアカウントには、既に「【“変異株”止まらぬ「英国型」猛威 大阪に続き東京でも…「第4波」か】報道1930まとめ21/4/8放送 - YouTube」も掲載されている。ただ残念なことに、山下がツイートした部分は含まれていない。TBS NEWSが当該発言を記事化していないかも調べたが、該当する記事はなかった。
 但し、番組がどんな内容だったのかは、4/8放送回のまとめを見れば把握することが可能だ。

 このような内容の番組の中で、オリンピック開催について「やると決めたからには、どうやってやるかに全力を尽くす」というのは、まさに「この一戦、何がなんでもやりぬくぞ」「進め一億火の玉だ」「特攻オリンピック2020」を地で行く姿勢としか言いようがない。共産党 小池の「やると決めたからにはやると言うのは科学ではない」という指摘は的確だ。そんなのは精神論以外の何ものでもない。
 しかも、自民 古川 俊治は医師でもあるのだ(古川俊治 - Wikipedia)。科学や合理的根拠に基づいて行動しなければ、人を死なせることもあるのが医師だ。医師であり政治家でもある者が、「やると決めたからには、どうやってやるかに全力を尽くす」なんて言っているのは本当にどうかしている。

 
 そもそも、未だに日本では積極的な検査が行われていない。それどころか、政府や首長らが感染拡大の責任から逃れたいが為に、また、オリンピックを兎に角開催したいが為に、少しでも状況をよく見せようとして、検査を意図的に絞っている懸念もある。
 それは、仏「リベラシオン」紙と「ラジオ・フランス」の特派員・西村 プペ カリンがツイートで示したこのデータからも明らかである。このデータは厚労省が公表しているものだ(国内の発生状況など|厚生労働省 / 国内における新型コロナウイルスに係るPCR検査の実施状況:2021年4月8日掲載分)。

 つまり、最大限の検査が行われていないのだから、意図的に検査を絞っている懸念は高く、たとえ意図的でなかったにせよ、充分に検査が行われていないことは明白で、現在の正確な日本における新規感染者数はハッキリ言って誰にも分からない。にも関わらず、東京や大阪を中心に都市部では、毎日新規感染者数が増えている。なぜそんな状況でオリンピックに関して「やると決めたからには、どうやってやるかに全力を尽くす」なんて言えるのか。最早常軌を逸していると言っても過言ではない。

というツイートが、今オリンピックについて「やると決めたからには、どうやってやるかに全力を尽くす」と言ったり、ワクチンを前提にしない大会の開催をあらためて強調することが、如何に狂った感覚に満ちているかを物語っている。


このブログの人気の投稿

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。