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トランプのふり見て我が国のふりなおせ


 日本がアメリカの余剰トウモロコシを購入することで合意、という話が話題になっている。トランプ大統領と安倍首相は8/25、G7首脳会議が開催されているフランス・ビアリッツで会談し、日米通商交渉が原則合意したことを明かした。9月の国連総会前後に正式に署名する予定だそう。日本側が求めていた自動車関税の撤廃については、見送りが決まったとも報じられている。
 これまで安倍氏や現政権は「2国間でのFTAは結ばない」「TPP以上の譲歩はしない」と言ってきたが、これまでにも「FTAではなくTAG」という詭弁で米国と2国間交渉を始め、そして今回は明らかにTPP以上に譲歩している。トップ画像は「いい加減なことを言いまくるトランプ」というイメージで採用したが、安倍氏や日本政府も同レベル、いや、それ以下と言っても過言ではない。
 しかしそれでも、読売新聞の記事によれば、政権支持率は1ヶ月前の調査よりも5ポイント上昇し58%だったそうだ。騙されてもすり寄る、若しくは気が付かない日本人の多さを物語っている。振り込め詐欺が未だに解消しないのは、騙されやすいお人好しな国民性もその要因と言えるのではないか。


複数の報道の中に「日本政府は害虫対策のための民間の措置だとしている」という旨の表現がある。確かに、
など、7月に九州で確認されて以降、沖縄・九州を中心に外来性の害虫の蛾が相次いで発見されている。Webを検索してみると、茨城でも発見されたという話もある。しかしトウモロコシには、日本人がよく食べる種類や、食用には向ない主に飼料用の品種などがあるが、今回合意に至ったのは、どんな種類のトウモロコシの購入なのかについて報じる記事はあまり見かけない。そもそも害虫の蛾も、まだ発見されたという状況であって、被害が拡大しているという報道はない。
 確かに、もし本当に害虫の被害拡大が客観的に予見できる状況であれば、何らかの対策は必要だろうが、これまでに幾つもの嘘を重ねてきた首相・政府の話は果たして信用に足るだろうか。そもそもこの貿易交渉についてだって、元来は「FTA交渉には応じない・TPP以上の譲歩はしない」という話だったのに、首相は国民に対してしたその話を反故にしている。更に言えば、彼や自民党は政権に返り咲く以前、声高に「日本の農業を壊すTPP断固反対」を掲げていた。どんなトウモロコシが不足すると予想しているのか、不足する量はどの程度なのかなど、具体的且つ丁寧な話がないし、これまでの嘘を勘案すれば、首相や政府の話は怪しいと考えるのも、決して考えすぎとは言えないのではないか。


 このような件を見ても、相変わらずトランプ氏に擦り寄る傾向の強い安倍氏だが、何故彼や政権への支持が60%近くもあるのかが自分には到底理解できない。8/19の投稿でも書いたが、世論調査に応じた市民が支離滅裂なのか、調査を行う側が何らかの操作をしているのかのどちらかとしか思えない。
など、この約1ヶ月で4つも日韓対立・関係悪化に関する投稿を書いた。この対立を受けて「韓国はおかしい・文大統領はおかしい」という人がいる。というか、両国政府の対応に煽られて、そのように言う人が寧ろ増えているようにすら感じる。確かに、文大統領の対応は自分も全く容認できない。しかし同時に日本の首相・政府の対応も同レベルであると考える。自国政府や首相がそのような状況ならば、他国の政府や指導者を批判する前にまず自国の政府や首相に自制を促してからにすべき、自国政府や首相が自制を始めてからにすべきではないのか。身内の不備を指摘できないようでは依怙贔屓と言われかねない。

 また、そのような人達が、トランプ氏の発言には矛先を向けないことにも大きな矛盾を感じる。トランプ氏が「ハリケーンに核爆弾を落とし、米国に上陸する前に破壊するのはどうか」と提案していた、とAFPが「核爆弾でハリケーンを破壊するのはどうか? トランプ氏提案」という見出しで報じている。記事によれば、ホワイトハウスはこの提案についてコメントを控えているそうだ。トランプ氏の発言・提案が事実無根であれば、ホワイトハウスは取り敢えず「そのような事実はない」と否定するだろう。つまり詳細は分からないが、そのようなことが実際にあったと捉えてよさそうだ。
 「台風を核爆弾で破壊しよう」なんてのは、もしそれが冗談だったとしても、そう提案したのが一国の指導者ならば、被爆国である日本人の多くは決して受け入れられない筈だ。コメディアンがブラックジョークを言うのとは次元の異なる話だ。特に日本の愛国者を自称する人ならば、「過去の原爆投下によって市民にもたらされた被害に鑑みれば、例え冗談だったとしても到底受け入れられない」と憤るべきではないのか。そして、そんなトランプ氏に一切苦言を呈することが出来ない日本の首相にも、同様に憤るって当然ではないのか。少なくとも何らかの指摘をするべきではないのか。
 今の日本は、首相も政府も国民も韓国にだけは強気なのに、何故か米国・トランプ氏が何を言っても積極的に批判しない、というか寧ろ礼賛する傾向にすらある。自分は日本に住む者として情けないし恥ずかしい。これでは日本でいじめやハラスメントが解消しないのも無理はない。


 また、トランプ氏に関しては、グリーンランド購入をデンマークに持ちかけたという話も最近話題になった(グリーンランド買収に関心「大きな不動産取り引き」トランプ氏 | NHKニュース)。これに対してデンマークのフレデリクセン首相が、買収には応じないことを明示し、「馬鹿げている」と一蹴したところ、トランプ氏はデンマーク首相の発言を「Nasty(嫌な、いじわるな)」と批判したそうだ(トランプ氏、デンマーク首相に「いやな発言」と グリーンランド売却拒否で - BBCニュース)。
 ハッキリ言ってデンマーク首相の発言は、これまでのトランプ氏の口汚さの足元にも及ばない。トランプ氏の発言は「どの口が言うのか?」という話でしかない。恐らく彼は、そんな批判も重々承知の上でそう述べたのだろう。結局彼は、注目さえ集まれば、注目のされ方は問わない、批判されても目立てるならそれでよいと思っている人物と言っても過言ではない。
 彼はその後、「グリーンランドを売る気がないなら、デンマークには行かない。トランプ大統領が会談を延期へ | ハフポスト」と言い出し、更に「一転「素晴らしい女性」=デンマーク首相をべた褒め-トランプ米大統領:時事ドットコム」とも言い出した。つまり突拍子もない言動に周りが反応を示すことを面白がり、且つ相手を翻弄するのがトランプ氏の流儀と言える。自国の首相が、そんな男との親密さを世界中に向けてアピールしているのに、日本では何故かそんな腰巾着男に支持が集まるのである。しかも、その腰巾着男もトランプ氏に転がされ、いいようにされているにもかかわらず。


 トランプ氏は8/23、中国が対抗措置を発表したのに反応し、中国からの輸入品について10/1から2500億ドル分の関税を今の25%から30%に、来月と12月に新たに発動する3000億ドル分の関税を10%から15%に引き上げるとツイートした。これに対して、アメリカの製造業系団体が反対の姿勢を示した(「もうたくさん」対中国関税さらなる引き上げに米産業界反発 | NHKニュース)。
 一時期よりは縮小しているようだが、相変わらずトランプ支持者は相応にいるようだ。トランプ氏や彼の支持者は、中国からの安価な輸入品にかけられる関税が引き上げられたら、国内企業もその煽りを受けることが分かっているのだろうか。低所得者の家計にも影響が出ることを理解しているのだろうか。これは日本でも同じことが言える。安倍氏と支持者は、日韓対立が深まれば観光客が減り、貿易が縮小し、国内企業もその煽りを受けることを理解しているのだろうか。対立を煽るメディア、特にテレビは本当に質が悪い。
 この投稿のタイトルを「トランプのふり見て我が国のふりなおせ」としたが、今の日本は概ね「トランプのふり見て真似して粋がっている」としか思えない。この状況を早く何とかしないと、日本の国際的な信用度はどんどん下がっていく。


 トップ画像は、Bruce EmmerlingによるPixabayからの画像 を加工して使用した。

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