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始まりと終わり、諦めない姿勢


 2019年が終わり2020年が始まった。2010年代が終わって2020年代が始まった。しかしこの節目という感覚も、昨日の投稿で触れた国境と同様に人間が人為的に決めた暦によるもので、別の言い方をすれば「誰かが一方的に決めた節目」であり、2019年12/31から2020年1/1になることに特別を感じるのは不思議なものだとも思う。とは言っても、社会全般で特別感が演出されていることもあり、そんな風に思いつつも何となく特別感を感じてしまうものだ。


 そんなこともあって、1/1・年明け最初の投稿はネガティブな内容ではなくポジティブなことを書きたいと思うものの、根がネガティブな人間の所為か、今の日本にネガティブなことが溢れている所為か、これといったネタが思い浮かんでこない。参考にしようと思い、過去の1/1はどんなことを書いたかを調べてみると、2018年の1/1にも、
「1/1・元旦ぐらいはポジティブな事を書こうかな」と考えながらPCを立ち上げ、
と似たようなことを書いていた。
 去年・2019年の1/1は「2019年早々、残念なNHKの報道」というタイトルで、年越しという有り得ないタイミングでNHKが、「皇位継承に伴う新元号 4月1日公表へ 安倍首相方針固める」と速報するという、あからさまな太鼓持ち報道をしたことについて書いた。この年末年始にもNHKは、12/30の投稿「NHKの安倍首相に言い訳をさせる特番」で書いたように、似たようなことをしていた。


 こうやって見ると、進歩なく毎年同じようなことが繰り返されているような感覚に陥る。2015年に集団的自衛権容認を前提とした所謂安保法案を強行に成立させた頃から、いや、2013年に特定秘密保護法を成立させた頃から、今の政権と与党は、「真摯な受け止め、丁寧な説明」と口では言うが全く行為が伴っておらず、何か指摘や批判があっても強引に押し通すという姿勢を貫いており、国の中枢がそんな風に変わらないのだから、毎年同じような事が繰り返されるのも当然かもしれない。しかも押し通すことのレベルは次第に下がっている。彼らが今押し通そうとしているのは、桜を見る会を巡る公職選挙法違反等の疑いに対する強引な説明であり、元担当副大臣が収賄の疑いで逮捕されたIR、所謂カジノ政策であり、工事が難航し計画の変更が不可避で、変更には県の了承が必要だが、了承が得られる見込みのない辺野古基地工事である。
 自分が政権批判をする度に書いているように、そんな政権と与党を、選挙の度に信任してきたのは、間違いなく日本の有権者だ。そんな政権と与党の姿勢にお墨付きを与えてきたのは間違いなく日本の有権者だ。つまり有権者が変化を望まなければ、この惨状は今後も毎年続くだろう。


 この投稿のトップ画像は、投稿日が1/1なので、日の出、若しくは初日の出のイメージに見える筈だ。しかしこの画像は日没で検索した結果である。日の出は始まり、日の入りは終わりを連想させる。だがそれはとてもよく似ており、この投稿のトップ画像のように、日没を日の出と錯覚させることはそれ程難しいことではない。
 西日本新聞が12/29に「アベノミクス指標に“仕掛け” GDP算出方法変更、不都合な試算拒む」という記事を掲載していた。


経済最優先を掲げることで安倍氏と現政権は支持を得てきた。だが、首相がアベノミクスの成果とてして強調する「名目GDPが1割以上成長し、過去最高となった」という話には、企業が業績を実態よりもよく見せる為の粉飾決算のような側面がある、という内容である。自分はこの記事を読んで、
敗走を転進と言い換えたのと何が違うのか。こういうことを伝えない報道機関も、大本営発表に忖度した戦中のそれと一体何が違うのか。
嘘は必ず破綻する。破綻するまで放っておくのは愚の骨頂。
ツイートした。どんな施策も現状把握が正常でなければ効果は期待できない。場合によってはそのツケが将来に回されることもある。自動車が故障した際には故障個所にあたりをつけて、ハッキリと故障個所を確認せずに交換部品を用意して修理することがある。しかし故障個所の予想が外れれば、その作業は無駄になり、別の部品と作業が必要になる。これは、現状把握が正常でなければ施策の効果は期待できない例の1つで、必要のない部品代がかかるという意味では、その代金が無駄になる、つまりツケが他に回ることの例でもある。
 覚醒剤を使用するとその効果で疲れを感じなくなり集中力も高まるが、効果が切れると強い倦怠感に襲われるそうで、「覚醒剤は元気の前借り」と言ったりもする。要するに、一時的な快楽と引き換えに後でとんでもないツケが回ってくる、のような意味だ。有権者の多くは、バブル崩壊後の長い不況、リーマンショック後の不況、震災後の重苦しい雰囲気を知っているから、実態が伴っていなくても「景気は悪くない」と思い込みたい者も少なくないのだろう。しかし、そうやって現状から目を背け、権力者の恣意的な嘘に陶酔することも元気の前借りのようなものである。

 現政権の経済政策によって株価は上がっているものの、賃金もGDPも増えていない。当初2年で物価2%上昇と言っていたのに、7年経っても実現出来ていない。経済政策の目標は株価上昇ではなく、社会全般の景気改善だったので、つまり現政権の経済政策は失敗と言っても過言ではない。そんな政策にこれからも税金をツッコむのは、負けが込んできた博徒が負けを取り戻そうとして更に金をツッコむのと似たようなものだ。
 それは、政権発足当初に「財政健全化」を掲げたのに、その達成の見通しが立たないどころか、昨年末には3年ぶりに年度途中の赤字国債増発に追い込まれたことからも明らかだ(税収減、赤字国債頼み 財政再建後回し:時事ドットコム)。つまり今の政権はなんとか隠そうと必死だが、次の世代にツケが回る「元気の前借り」をしている状況である。現政権が発足したばかりなら、ある程度リスクを取ることも認める必要があるだろうが、7年も続いているのに、当初の目標を達成出来ずに未だに「元気の前借り」をしているのが現政権と与党の経済政策である


 安倍氏は、「報道写真展2019」を見て
日本が世界の真ん中で輝いた年になったのではないか
と語ったそうだ。しかし「この1年を「日本が世界の真ん中で輝いた」と表現する安倍首相の世界観とは - 毎日新聞」は、この首相の主張に対して、
確かに、改元や新天皇即位の祝賀行事、ラグビー・ワールドカップなど、明るいニュースはあったが、豪雨や台風などの災害は忘れられない。「真ん中で輝いた」と表現した安倍首相の真意はどこにあるのだろうか。
と苦言を呈している。自分には、安倍氏は自分にとって都合のいいことにばかり注目し、「日没を日の出と勘違いさせようとしている」ようにしか見えない。それは、2019年の終わりに首相のツイッターアカウントに投稿されたこのムービーからも明らかだ。


このツイートを引用して、「「プロパガンダ」を学ぶのに最適な映像」と言っていた人がいたが、まさにその通りだと思ったし、自分は
2019年最後の大本営発表
としか思えなかった。つまり、やはり彼は、有権者に「日没を日の出と勘違いさせる」ことに躍起になっているとしか思えない。


 投稿の冒頭でも書いたように、今年・2020年は2020年代の始まりという節目でもある。そんな節目の年に東京オリンピックが開かれる、と聞けば、多くの人はポジティブな印象を抱くだろう。しかし視点を変えて考えると、これまで一部の人が恩恵を受けていたオリンピック特需が終わるとも言える。自分はそもそも、招致から首相が嘘をつき、エンブレムや競技会場等様々ケチがつきまくっている東京オリンピック開催自体をネガティブに捉えているが、百歩譲って開催自体をポジティブに捉えるとしても、大会終了後の運営方針が決定していない競技場(民営化の計画策定を先送り 新国立競技場、トラックの判断も - 産経ニュース)等、オリンピックの為のツケが将来に回る、という事案は確実にある。
 競技の放映に絡んだテレビ局や、スポンサーになっている新聞など、大手のメディアはオリンピックのお祭りムードを高めようと躍起になっているが、これも結局「日没を日の出と勘違いさせようとする行為」なのではないか。確実にそうだとは言い切れないが、逆に言えば、確実にそんなことはない、とも言いきれない。


 何はともあれ、2020年の始まりが、そして2020年代の始まりが、何かの終わりの始まりにならなければいいな、と願わずにいられない2020年の1/1である。そうならない為には、ただ願うだけでなく有権者一人ひとりが何かしら行動しなくてはならない。
 「千里の道も一歩より」と言うように、何もしなければ何も始まらない。毛利 元就の「三本の矢」の教えにもあるように、それぞれの力は小さくて弱くても結束すれば力は確実に強まる。またスラムダンク・安斎先生も「あきらめたら、そこで試合終了ですよ…?」と言っているように、諦めなければ終わらない。

 安倍氏に学ぶ点は少ないが、何があっても強引に押し通そうとする彼の諦めずない姿勢だけは、彼に違和感を持つ者も見ならうべきだ。


 トップ画像は、Free-PhotosによるPixabayからの画像 を使用した。

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