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ネガティブなニュースばかりで、ポジティブなニュースが恋しいが…


 今、メディア報道の中から、新型コロナウイルス関連以外のニュースを見つけることの方が難しい。芸能ニュースですら「芸能人らがこんな啓蒙を発信しています」、スポーツニュースも「この団体はイベントを中止しました」「こんな対応をしています」といった具合だ。しかも、その大半はネガティブな話ばかりである。芸能人らがこんな啓蒙をーという話は一見ポジティブにも見えるが、「デマに振り回されないで」「マスクがないならこうやって自作出来ます」のように、ネガティブがその下敷きに必ずある。

 2/27の投稿の冒頭でも、「テレビをつけても、新聞を読んでも、SNSを見ても、一番多く目に入ってくるのは新型コロナウイルス関連の話題だ」「コロナ狂騒曲とも言えそうな状況にややウンザリもしている」と書いた。自分も間違いなく、新型コロナウイルス関連以外の、しかも明るいニュースを欲している。暗い話ばかりでは気が滅入るからだ。
 しかし一方で、暗い話、ネガティブな話のネタを供給し続ける人達がいる。その最たる存在が首相や政府と与党・自民党だ。


 このツイートなどが指摘しているように、昨日国会で立民・蓮舫氏が、3/1の投稿昨日の投稿でも触れた、質問を求める記者がいるのに「予定がー」という理由で2/29の会見を30分程度で打ち切ったが、首相はそのまま帰宅しただけだった件について質問し、それに対して首相が、質問通告を受けた質問だけに答えている、という実情を暴露してしまった。「安倍 会見 質問」などで検索してみたが、官邸記者クラブに属するメディアの記事には、詳細を伝えている記事を見つけることが出来なかったが、フリーのジャーナリスト・亀松 太郎さんが、蓮舫氏と首相のやり取りを文字起こししている(安倍首相が国会で明らかにした「総理会見=出来レース」のメカニズム(亀松太郎) - 個人 - Yahoo!ニュース)。 また、日刊スポーツは、この政府や首相と官邸記者クラブの癒着とも言える状況を、「首相の記者会見と言うべきでない「台本劇」/地獄耳 - 政界地獄耳 - 社会コラム : 日刊スポーツ」と批判している。首相や政府は言うまでもない。官邸記者クラブに属するメディアは所謂大手メディアだが、彼らにはその矜持はないのか。今の状況に甘んじていることを「恥ずかしい」と思う気持ちはないのか。
 2019年の日本の報道の自由度ランキングは67位でG7の中で最低である(世界報道自由度ランキング - Wikipedia)。


これは年毎の日本の順位の推移で、緑がかっている部分は順位が比較的高い。日本の順位が高かったのは2008-2012年だ(2012年は2011-12年の2年分として発表された)。2012年と2013年の間に何があったのかと言えば、2012年12月の衆院選で民主党政権から現在の安倍自民政権への政権交代が起きた(第46回衆議院議員総選挙 - Wikipedia)。民主党政権の期間は2009年9月から2012年12月であり、しかも、2007年7月の参院選では、第1次安倍政権下の自民党が敗北を喫し(第21回参議院議員通常選挙 - Wikipedia)、所謂国会のねじれが生じており、自民党の勢力が衰えていた時期と日本の報道の自由度ランキングが高った時期は一致している。
 安倍政権下の日本の報道の自由度ランキングが低いのが気に入らないのか、「国境なき記者団はアジアが嫌い?」などと言っている者もいるが(報道の自由度ランキングはどう偏っているのか - iRONNA)、韓国や台湾は米国よりも順位は上であるし、この現状を見れば、日本の順位が低いのは妥当としか言いようがない。


 そして、同じく蓮舫氏が、専門家会議の見解には学校の一斉休校のに関する話はないが、一方で高齢者の感染リスクを重視していることを指摘し、高齢者施設などに対して、イベント自粛や学校の一斉休校と同等の対応をしないのはなぜなのか、と質問したところ、自民・松川議員が「高齢者は歩かないから」という野次を飛ばした「高齢者は歩かないから」新型コロナ対策めぐり、国会で自民党議員がヤジ→謝罪 Buzzfeed Japan)。


 更に、今日の国会では、自民・山田 宏議員が、質問の冒頭で「日本と韓国の対応の所為で感染が蔓延していると言われかねないので、どこに原因があったかを明確にする為、私は新型コロナでなく武漢肺炎と呼ぶ」という旨の発言をしていた


彼は、WHOが「名前がいわれのない差別や偏見に利用されることを防ぐことが重要だ」として、COVID-19という名称を設けた(新型コロナウイルス感染症の正式名称は「COVID-19」。もう“武漢の肺炎”と呼んではいけない理由がある | ハフポスト)ことを全く無視している。
 こんな男が国会議員として、しかも質問に立っている。1月には、杉田とかいう議員が選択的夫婦別姓に関する質問に対して「それなら結婚しなくていい」と野次った(杉田氏、夫婦別姓ヤジは「玉木氏がひどいこというから」:朝日新聞デジタル)。この女は以前「同性愛者には生産性がない」とも主張している(2018年7/23の投稿)。あんなヤジを飛ばす女やこんな無思慮な男を、公認してしかも質問に立たせる

 自民党は掃き溜めと化している

と言っても過言ではないのではないか。

 3/1の投稿でも書いたように、昨今「こんな緊急時だからこそ批判するのではなく、みんなで協力して最善の対策を実現しよう」等と主張する、自民党の積極支持者や、「自民も野党もどっちもどっち」という態度の冷笑系、若しくはステルス与党擁護を繰り広げる者をしばしば見かける。このような首相や与党の下に一致団結すれば、全員で崖に向かって突進し心中することにもなりかねない。批判無くして最善の策など実現する筈がない。


 このように毎日ネガティブなニュースが量産され続けており、少しでも明るいニュースをと欲する読者や視聴者がいるからか、記者自身もそのような状況にうんざりしている所為か、
のような、新型コロナウイルスに関する美談のような内容の記事も目に付く。しかし、このような善意に関する話を美談にするなら同時に、考え足らずの政府方針に振り回されていること善意という不安定なものに頼らざるを得ない状況にならないような仕組み作りが重要であることを、ちゃんと指摘しておくべきだ。でなければ今後、都合の良い「終わり良ければ総て良し」論に利用されかねない。
 大体「公演中止のアーティストのクラウドファンディングに3000万円が集まった」という話は、アーティストに相応の地名度があったから集まった側面が強い。相応に名の売れたアーティストなら充分に善意も集められるが、中小零細レベルではそうはいかない。善意だけに頼った施策を美談のように語るのは、残念なことに充分な善意に恵まれない人達には辛いことではないだろうか。安倍首相は「イベント中止要請はしたが、イベント中止の補償を国はできない」という見解を昨日の国会審議の中で示した【詳報】小中高生の感染者数、厚労相が即答できず騒然:朝日新聞デジタル)。


 また、全国的に臨時休校を求めたことが及ぼす影響への対応策として、休校が理由で仕事を休んだ従業員に給料を全額支払った企業を対象に、1人当たり日額上限8330円の助成金を出す新たな制度の概要を発表したが、正規雇用、非正規雇用を問わず助成する一方、フリーランスや個人事業主、自営業者の保護者は対象外だし(保護者休業の助成金、1日8330円上限 自営は対象外 [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル)、


医療や介護、行政の現場を含め、小学校低学年の子を持つ保護者が休業を余儀なくされ、現場が回らなくなる状況は解消できない。給食が停止される影響を受ける酪農家や乳製品業者を始めとした、学校に関わる産業が窮地に追い込まれる問題も依然として残ったままである。
 今朝テレビで、どこかの自治体が給食で使用する筈だった食料品の、食品ロスを防ぐ為に即売会を行い、市価の約半額という価格ということもあって、多くの市民が集まり完売した、という話を、柔軟な対応かのように紹介していた。しかし、感染防止目的で濃厚接触を避ける為に学校を休校にしたのに、即売会で人を集めてしまうのでは本末転倒にも見えたし、市価の半額で食料品が販売されたら、その分地域商店の利益を圧迫するようにも感じられた。
 やはりこのようなことは美談としての側面ばかり強調せずに、「考え足らずの政府方針に振り回されている」ことも充分に伝えるべきではないのか。


 うんざりしているからと言って、それから目を背ければ、更に悪い状況に陥る恐れがある、ということを決して忘れてはいけない、と強く感じる。


 トップ画像は、Photo by Jon Tyson on Unsplash を加工して使用した。

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