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有権者が参政権を行使することは民主主義の大前提


 今日・7/14は参院選投開票日前、つまり選挙戦最後の日曜日だ。日本の国政選挙は公示/告示日から投開票日まで2週間前後(衆院12日/参院17日)なので、選挙運動期間最初の週末の次は最後の週末になる。テレビや新聞、各党のSNS投稿等では「最初/最後の週末」という表現は決まり文句のようだが、そんなことを勘案すれば大袈裟な感じがしてならない。メディアが用いるのは番組や記事を盛り上げる為の演出、政治家や政党が用いるのも演出でもあるだろうが、どちらかと言えば自分達を奮い立たせる為にそのようなことを言っているようにも思える。
 今日は7/5の公示以降、これまでに今回の選挙戦の中で感じたいくつかのことから、有権者が参政権を行使することが如何に重要かを書くことにする。

 冒頭の画像は総務省のサイトのスクリーンショットだ。あまり引用されているのを見かけないが、一応国も選挙への投票を呼び掛けるサイトを作成し啓蒙はしている。



 TBC東北放送は7/9に「参院選 若者の8割近く「投票日知らない」」と報じた。参院選が公示された7/4から7/8までの5日間、大学生らでつくるNPO法人「ドットジェイピー」が、仙台で若者を対象に街頭アンケートを実施したところ、およそ80%が「投票日を知らない」と答えたそう。
 サンプル数が440人とやや少ないので、実態を正確に反映しているかは分からないが、少なくとも総務省の投票啓蒙サイトは役に立っていないと言えるのではないか。これは、企業の広告戦略で言えば明らかな失敗である。効果のない/薄いことに税金が投入されているのだとしたらそれは由々しきことだ。投票率が上がらないのは政府の失態の一つだろう。そろそろ率先して投票を促す立場にある政府に、一定の投票率を維持できない場合に何かしらペナルティを科す必要があるのではないか。本来はそれも投票行動によって行われるべきなのだろうが、投票率が下がっているのだから投票行動によるペナルティは機能しそうにもない。ならば法律等で何かしらの取り決めを作っておく必要があるようにも思う。例えば「一定の投票率を維持できない政権は退陣しなくてはならない」のような方向性の条文を盛り込む憲法改正なら自分は賛成だ。




 これは、お笑い芸人且つNHK職員でもあり、若者の政治への興味喚起に注力しているたかまつ ななさんが公開したムービーだ。元ネタは2018年のアメリカ連邦会議選挙の際に公開されたムービーで、その日本語バージョンといったところだ。その辺についてはBuzzFeed Japanが「「若者よ、選挙に行くな」と全力で煽ってくる。衝撃的なメッセージの狙いとは」という記事にまとめている。

 自分はこのムービーを見た際に、「このムービーを見た若者は選挙や投票について考え直すかもしれない。しかし果たして、投票日を知らないと答えた若者にこのムービーは届くだろうか。この手のムービーが彼らの目には殆ど入らないようになっているのがSNSの仕組みなのではないか」と思った。
 7/6の投稿の最後にも書いたが、若者に選挙/投票にまつわる啓蒙を届けたいなら、若者に人気のあるタレントやYoutuber/インスタグラマー等に、「え? お前ら選挙いかない方が「達観している俺カッコイイ」とか思ってない? それって超ダサいんですけどwwwwwwwwwwwww」的なことを言わせるのが一番の近道だと思う。総務省のサイトでも、若者にも人気のあるタレント/女優の上白石 萌歌さんを起用しているが、そういうことじゃない。「やってます感」だけは出せているが、どうも認識がズレているように思う。
 5/25の投稿などで書いたように、首相はここ最近しばしばタレントとの親密さをアピールしてきた。4月の総理主催「桜を見る会」とやらにも多くの有名人/芸能人らを参加させていた。ならば、安倍氏は一国の総理大臣として彼らに「投票を促す啓蒙をして欲しい」とお願いすればよいのではないか。しかし安倍氏と会食した有名人や桜を見る会の参加者が、率先して投票を促す啓蒙をしている、という話は一切聞こえてこない。
 彼は現在自分の所属する自民党の選挙活動に最も注力している。決してそれが悪いとは言わないが、選挙期間中は彼から総理大臣としての側面がなくなるわけではないので、所属政党の総裁としての活動よりも、低迷が危惧される投票を促す啓蒙の方に注力するべきではないだろうか。そう言われたくないのであれば、選挙期間前に充分な啓蒙活動をしておくべきだったのではないか。総務省のサイトを見る限り、彼の首相としての啓蒙活動が充分だったとは決して言えない。


 自分は公示以降何度か選挙関連の投稿をこのブログで書いてきた。というか、日頃から政治に関する投稿を書くことが多く、選挙中だからそのような投稿を書いているという意識は殆どない。自分は安倍氏がオリンピック招致演説の中で「(福島)はアンダーコントロール」と言って以来、彼を嘘つきだと思っており、嘘つきを総裁に据える党が与党であること、嘘つきが国のトップであることを日本の恥だとさえ思っている。だから投票先は必然的に自民以外になる。なので他の人にも自民以外に投票して欲しいと思ってはいるが、それ以前に
  自民党に投票してもいいから、兎に角全ての有権者は参政権を放棄しないで欲しい。つまり老若男女・有権者の全てに投票に行って欲しい
と思っている。何故なら、有権者が参政権を行使することは民主主義の大前提である。日本国憲法の12条にも、

 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。

とある。
 民主主義/自由主義国家において権利とは、生まれながらにして与えられるものではあるが、自然に得られたものではなく、先人たちが勝ち取ってきたから現在全ての人が有することができるようになっているものでもある。例えば、日本で普通選挙権(成人男子のみなので厳密には普通選挙権ではない)が成立したのは1925年のことだ。それは大正時代の人達が普通選挙権を求めて活動した結果であり、それ以前は一定の税金を収めている人にしか選挙権が与えられていなかった。
 憲法12条にも書かれているように権利や自由とは、保全に努めなければ消滅することもある。例えば香港では、中国共産党に批判的な者が議員になることが出来ない。今の日本では考えられないことだが、参政権/投票権を放棄する者が増えれば、政府に批判的な者の立候補を認めないという法律が出来る恐れもある。そうなれば明らかに日本の普通選挙制度は崩壊する。つまり民主主義が大幅に後退する。
 「憲法の規定に反する法律は作れないから、投票率が下がってもそんなことは起きない」という人もいるだろうが、現在の政権は安保関連法を成立させる為に、憲法9条の解釈を一方的に閣議だけで変更し、戦後これまでどの政権も憲法では認められていないとしてきた集団的自衛権を、一転して認められているとした前歴がある。つまり強引な手法を用いれば「政府に批判的な者の立候補を制限する法律」を成立させることもできるということだ。


 BuzzFeed Japanは7/13日に、主要8党+1(自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社民党、れいわ新選組)の政権放送を、文字に起こして掲載した。各党の政権放送文字起こしはそれぞれ1つ1つの記事になっている。リンクを全て掲載するのが面倒なので、各記事へのリンクも掲載されている、各党の政権放送を分析したまとめ記事「参院選「政見放送」を分析してみた。各党の主張はこんなに違う」へのリンクを掲載しておく。
 これらの記事を読んでいて思ったのは、本来政権放送の文字起こし記事を掲載するべきなのは、公共放送であり政権放送を放映するNHKではないのか、ということだ。現政権と同様に、NHKの放送も投票率の向上の為の積極的な啓蒙活動には全く力が入れられていないように思える。そしてそれはNHKに限った話ではなく民放局も同様だ。
 2016年に現政権の高市総務大臣が、放送法4条違反を理由に電波法76条に基づき停波を命じる可能性に言及して以来(毎日新聞「高市氏の「停波」発言 ホントの怖さ」)、テレビ各局は政治報道、特に選挙期間中の政治報道に消極的になったと言われている。それが事実か否かは判断の分かれるところであるが、投票行動を促す啓蒙に関しては、放送局の政治的な中立を脅かすようなものではない。にもかかわらず、低投票率が危惧されているのになぜその手の特集すらしないのだろうか。


 メディアや政府は消極的としか思えないが、投票行動を促すのに積極的な人は一定数存在する。特にSNS上にはそのような人も多い。
 SNS上に限らず実社会でもその手の人はいる。今回の選挙に限らず創価学会員というのは、選挙になると急に話しかけてきたり、電話をかけてきたりして「公明党お願いね?」と言ってくる。自分の周りには2人程その種の人がいる。1人は高校の同級生で、親しくもないのに選挙になると電話してくる。もう1人は近所のおばさんで、そのおばさんも普段は挨拶を自分からはしてくることはないのに、選挙になると「公明党よろしくね!」と声をかけてくる。
 今回も既に両名からそのような申し出があった。これまでは、何を言われても勿論自民と連立を組む公明党になど投票する気はないが、わざわざ角を立てる必要もないので軽くあしらっていた。しかし今回だけは2人に対して明確にこう言った。
 LGBTの権利を認めないという人が党首の党に投票するつもりは一切ない
と(東京新聞「7与野党、論戦白熱 挙手で賛否 ルールに首相いらだち」)。

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