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誇ることのない自民政権 + それでも支持する有権者 = 暗い日本の未来


キャンペーン

  • 企業、団体、あるいは歌手や芸能人などの個人が社会に対する宣伝活動を行うこと
  • 目的を持って一定の多数に働きかけること。または、その運動
Wikipediaのページではそのように定義されている。Googleで「キャンペーン 意味」と検索すると、
 組織的な闘争・運動。宣伝活動。「―を張る」
と表示される。 つまり、キャンペーンとは概ね宣伝・周知活動という認識で差し支えないだろう。
 まだ日程は定かでないが、今夏には参議院選が行われる。首相は戦後3度目(実質的な同時選を含めれば5度目)の衆参同日選に打って出るのではないか、なんて話もしばしば囁かれている。今回の選挙に限らず、現在日本の政党で選挙キャンペーンに最も力を入れている政党は間違いなく自民党だろう。その自民党、というか首相や政府関係者らは、新元号や新天皇即位のお祝いムードをかなりクレバーに(「ずる賢く」の意)キャンペーンに利用し、新天皇が即位したゴールデンウィークに照準を合わせて
「#自民党2019」というキャンペーンを立ち上げた。5/3の投稿でも書いたがそれは、政治的な主張を一切含まない、イメージ性重視のある意味不気味なキャンペーンだった。


 これも5/3の投稿でも書いたことだが、選挙前等に一部の政党が作成するテレビCMは、公約が織り込まれる場合もないわけではないが、概ねイメージ性重視になりがちだ。国民民主党が2019年2月に公開したCMも、代表の玉木氏が戦国武将に扮し「私たちの答えを全力でぶつけていこう!」「つくろう、新しい答え。」などのフワッとしたコピーを呼び掛けるだけの内容だ。
 日本でのスタンダードな選挙活動の一つに、ただただ名前を連呼しながら街宣するという手法がある。「まず名前を覚えて貰えなければ投票して貰えるはずがない」という思いで、そんな活動が未だに行われているのだろう。中には公約を端的にまとめて叫んでいる街宣活動の場合もあるが、大概後ろ盾になる党名と候補者の名前だけを連呼している。それだって充分に政治的主張を殆ど含まない選挙活動だ。つまりイメージ性重視で中身のない選挙活動というのは、決して最近に始まったことでもないのだが、それでも「#自民党2019」というキャンペーンは異様だ。
 テレビCMは尺も短い為、ある程度イメージ性重視になるのは仕方のないことだが、「#自民党2019」というキャンペーンは、そのサイトにも政治的な主張が一切含まれていないと言っても過言ではない。同キャンペーンは若年層をターゲットにしているようだが、それはまるでビデオゲームか何かの宣伝のような内容だ。このキャンペーンが功を奏したのかどうかは定かでないが、新元号を発表し新天皇が即位した4月以降、与党自民党が野党の求める予算委員会の開催を拒み続けている4月以降、殆どの世論調査で政府の支持率は上がっている。という事は、決して少なくない有権者は、中身のない当該キャンペーンを肯定的に受け止めているのだろう。肯定的に受け止めているは言い過ぎとしても、否定的には受け止めていないとは言えそうだ。


 何故自民党はそんな盛大にイメージ性重視のキャンペーンに舵を切ったのだろうか。「2017衆院選・自民党のスローガンと公約を改めて確認してみる」という投稿を5/12に書いた。そこで詳しく書いた通り、自民党、つまり現政権が2017年衆院選で掲げたスローガン・公約をチェックしてみると、何一つ実現していない、実現していないどころか実現の目途が立っていると言えそうなものも見当たらない。特に多くの有権者が現政権・与党自民党支持の理由に挙げる経済政策に関して、政権発足当時から掲げる物価2%上昇は6年以上経った今も実現できず、出来ないどころか目途も立っていない状況で、2017年当時誇らしげに掲げていた「(2017年まで)4年連続の賃上げの流れ」というのも、2018年末に発覚した統計不正によって虚飾の恐れが強くなった。2019年3月の実質賃金は2.5%のマイナスと発表されており、全く誇れる数字ではなくなった。1/30の投稿で詳しく書いたように、これまで演出してきた「戦後最長の景気回復」も、もう既に殆どの有権者が信用しなくなっている。
 今でも政府は、「賃上げの流れは続いており景気も悪化していない」と言い続けているが、それは単に体裁、というか面子を保つための方便であって、それで有権者にアピールできるとは思っていないだろう。そうでなければ確実に盛大にイメージ性重視のキャンペーンなど張らなくてもよいはずだ。いや、イメージ性重視のキャンペーンを行うとしても、そこに経済政策の成功アピールを確実に絡めていたはずだ。あのようなキャンペーンは即席で出来るものではないので、政府与党は少なくとも数ヶ月前から既にそのような認識を持っていたということになる。


 それは、余程気に入ったのか、最近首相が擦り続けている「悪夢のような民主党政権」というフレーズにも現れているように思う。彼が最初にこのフレーズを用いたのは2月のことだ(2/12の投稿2/13の投稿)。政権交代から既に6年以上が経っており、その間に彼が誇るアベノミクスとやらが確たる実績を上げているのなら、今更前政権をこき下ろす必要があるだろうか。自分(達)より程度の低い者と比較することで、若しくは比較対象を卑下することで自分(達)を良く見せようとするのは、浅ましい者がしばしば用いる手法なのではないか。しかも最近首相だけでなく官房長官も似たような事を言いだした(産経新聞)。彼らは都合が悪いとコメントを差し控えがちな人たちだ。わざわざこのタイミングで、今更前政権バッシングをするのには何かしらの思惑があるのだろう。
 余談だが、今日来日する予定のトランプ米大統領もしばしば全オバマ政権を過剰に卑下する。トランプ氏と安倍氏はゴルフを良くする友人なのだそうだが、自分には似た者同士に思えてならない。他国ではトランプ氏訪問に合わせてデモが起きたことなどが伝えられているのに、日本では政府とメディアが一体化して歓待ムードを盛り上げている。海外から日本がどのように見えているかを考えると、「恥ずかしい」以外の言葉が見当たらない。
 更に余談だが、野党の一部も同様に現政権の批判に主眼を置き、自分達がどのような政策を用意しているのかよりも、「打倒安倍政治」というスローガン重視になってしまっている。 与党・現政権が他者卑下で支持を維持しているのだから同じことをしようというのも分からなくもないが、同じことをしていては有権者の鞍替えには至らないだろうし、無党派層が感じるのは「与党も野党も同じ穴の狢、だったら今のままでもいい」になってしまうのではいか。それについては4/10の投稿「「安倍政治を終わらせる」というスローガンのダメさ加減」で更に詳しく書いた。


 中身のないイメージ性重視のキャンペーンを行ったり、前政権をこき下ろすような事を2019年前半に首相や自民党が始めたのは、他に、選挙を前にアピールできる点がないことの裏返しなのだろう。しかもそれで政権支持率が上がっているのだから、彼らの方針は今のところ正しい?正しいかどうかは分からないが、成功していると言わざるを得ない。別の視点で見れば、有権者は舐めきられているのだろうし、逆に言えば、舐められて当然の有権者が決して少なくないとうことでもあるだろう。
 イメージ性重視のキャンペーンは他にも行われている。首相は公式ツイッターアカウントに以下の投稿をしている。

これについて、多方面から

 筋ジストロフィーに関する映画を見て考えさせられたのに、なぜ官邸に招いたのが俳優なのか。病を患う当事者や実際にボランティアをしている人・医師らに直接話を聞きたいと考えるのが自然だろう

という批判・指摘がなされている。端的に言って、首相は単に有名な俳優との写真・話題性が欲しかっただけ、これもイメージ性重視のキャンペーンで、筋ジストロフィーへの関心を装った、装ったは言い過ぎでも、それを利用したステマ(ステルスマーケティング)をしていると思わざるを得ない。
 彼は最近他にも、


など、タレント等を利用したキャンペーンに余念がない。このようなキャンペーン手法も、他に有権者にアピールできることが無くなってしまったことを強く示唆してるとしか言いようがない。

 これで支持率が上がるようならば、日本の将来は決して明るいとは言えない。寧ろお先真っ暗だとしか思えない。
 5/17に台湾で、アジアで初めて「同性カップルが結婚する権利を保障する法案」が可決された(BuzzFeed Japan)。台湾がアジア初ということはつまり、日本もアジア初になり得たということだ。これ以外にも労働者の権利が守られていなかったり、相変わらず外国人差別が蔓延っていたりと、本当に日本はアジアNo.1の先進国ではなくなってしまっている。バブル以後の日本は経済的にも文化的にも足踏み状態でどんどん追い抜かれている。追い抜かれていると言うよりも寧ろ、昭和以前に退化し始めていると言っても過言ではないかもしれない。

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