スキップしてメイン コンテンツに移動
 

エイプリルフールが終わっても続く政府・首相の嘘


 4/2の投稿にはエイプリルフールに因んで「4/1だけでなく年中エイプリルフールの国になっている日本」という見出しを付けた。2019年の第1四半期を振り返り、その3カ月で首相や政府がついた嘘、その3カ月の間の出来事にまつわる首相や政府がこれまでについてきた嘘をまとめ、そして4/1に政府が5/1から使用するとして発表した新元号に関して、メディア、特にテレビ報道が、和暦・元号の使用、新元号を歓迎する人達だけを報じ、歓迎しない人達を全く報じないことも、テレビが虚構を作り上げて放送しているようで如何にもエイプリルフール的だったと書いた。因みにテレビ報道はエイプリルフール・4/1が終わっても同じ様な姿勢の報道を続けており、4/1の見出しは、その時点では政府や首相がエイプリルフール以外も嘘をつきまくっているというニュアンスを込めただけだったのに、結果として、政府や首相だけでなくメディア、特にテレビ報道も「4/1以外も嘘をついている」という意味になったと今は感じる。
 また、この数日間で、やはり政府や首相は「日本を、4/1だけでなく年中エイプリルフールの国にしている」と再確認させられたので、ほんの数日前・4/1に2019年版政府首相の嘘第1集をまとめたばかりだが、今日はそのことについて書くことにする。


 首相や政府による新元号の「政治利用の度が過ぎる」という事についても、発表直前の3/29の投稿「首相が「新元号への思いを国民に直接伝える」ということについて」で書いた。
 現在の元号・平成が発表された際も、当時の首相・竹下 登氏の談話は発表されたが、首相が直接それを伝えるのではなく、官房長官が読み上げるという形式だった。昭和から平成への改元は戦後初の改元、つまり、戦前の大日本帝国において、天皇大権が政治的・軍事的に利用され、日本が軍国主義・全体主義に向かい、最終的に太平洋戦争を始め、そして国民に甚大な被害を出したことに鑑み、天皇制を維持するのならば天皇と政治は極力距離を置くべきという考えの元、新たな日本の憲法で象徴天皇制が定められてから初めての改元だった。実際のところは定かではないが恐らく、当時の政府や首相は、天皇の崩御に伴う改元・一世一元という元号と天皇の一体性を加味し、政治と天皇の距離感を示す事を重視して、首相談話は発表するが国家権力の実質的なトップである首相が直接それを発表する事を避けたのだろう。
 つまり、政府が前例を重んじ、そして憲法の規定を尊重するという意味でも、象徴天皇制下での改元の前例はまだ1例しかなく、平成の改元の不備のなかった部分は、その前例を基本的に踏襲するべきだ。というか政府自身も改元手続きについて、平成の改元時の手続きを踏襲すると2月に発表している(時事通信の記事)。しかし、3/29の投稿で触れたNHKの記事「新元号 4月1日の午前11時半に発表」にも、
 菅官房長官は、前回、平成への改元の際と異なり、総理大臣談話を安倍総理大臣みずからが発表することについて、「閣議の内容は通常、官房長官が公表していることから、閣議決定された新元号は私が公表する予定だ。官房長官会見に引き続いて、安倍総理大臣が記者会見を行い、新元号に込められた意義や国民へのメッセージについて国民に直接伝える予定だ」と述べました。
 そのうえで、「総理大臣談話を発表するわけだから、総理大臣が直接、国民に伝えるのが自然なのではないか。安倍総理大臣自身が、直接、新元号を国民に語りかけ、趣旨を説明するというのは極めて大事なことではないか」と述べました。
とあり、平成改元の際とは異なる対応をするとし、実際の4/1の新元号発表に伴う首相会見の際に、記者から「何故平成改元とは異なり、首相自ら談話発表を行ったのか」と問われると、
 平成の改元時には、当時の竹下総理の談話が発表されています。当時は総理大臣が会見を行うということは極めてまれでありましたが、平成の30年を経て、総理大臣が直接発信する機会も増大しました。私自身、何らかの出来事があると、官邸に入る際などに記者の皆さんから声がかかり、マイクを向けられることもあります。そうした時代にあって、平成のときと同様に、総理大臣談話を発表するのであれば、私自らが会見を開いて、国民の皆様に直接申し上げるべきだと、こう考えた次第であります。
と述べた(首相官邸の記録記事)。


 この首相の話には嘘があるとする記事を毎日新聞が4/11に掲載した。「首相会見、30年前「極めてまれ」ではなかった 「令和」で前面 安倍氏の説明をファクトチェック」によると、
 安倍晋三首相は「当時は総理大臣の会見は極めてまれで、平成の30年を経て、首相の直接発信が増大した」と説明した。当時の新聞記事を調べると、改元前年1988(昭和63)年の竹下登首相の記者会見は19回あり、安倍首相の昨年1年間の14回より多かった。識者らは「安倍首相の発信は、都合の良い時に一部のメディアに限定したものが多い」と指摘
しているそうだ。つまり、平成改元当時、首相の会見は極めて稀だった。30年で首相の直接発信が増えたというのは嘘、ということのようだ。つくづく息をするように嘘をつく男だとしか言いようがない。それとも4/1・エイプリルフールの会見だから多少の嘘は許されるとでも思ったのだろうか。
 しかし安倍氏が似たような数字の嘘をつくのはこれが初めてでも何でもない。4/6の投稿「人を動かす為の数字は、捏造することができるので注意が必要」でも書いたが、彼はつい数か月前にも「(自衛隊員の勧誘に)6割の自治体が非協力的だというのはファクトだ」という嘘をついたばかりである。
 残念な事に、彼や今の政府が余りにも嘘をつくので国民も感覚が麻痺しているのか、新元号の発表以外に大きな要素もないのに、共同通信NHK産経FNN合同の、3つの新元号発表後の世論調査で内閣支持率が5-10ポイント程度上昇したそうだ。また首相が、塚田国交副大臣が忖度発言で辞職したことについて(4/5の投稿)、
 雰囲気がどうであれ、その場において、政治家が語る言葉は真実を語らなければならない
と述べているが(ハフポスト/朝日新聞の記事「安倍首相「政治家は真実を語らなければ」 塚田一郎国土交通副大臣の辞任受け」)、 「どの口が言うのか?」以外の言葉が見当たらない。

 辞任と言えば、これまでも数々の不適切な発言を繰り返し批判を浴びてきた桜田五輪担当兼サイバーセキュリティ担当大臣が、自民・高橋 比奈子衆院議員のパーティでの挨拶で、「復興以上に大事なのは高橋さん」と発言し、その2時間後にこの発言の不適切さを理由に辞任した(ロイター/共同の記事)。ただ、その後メディア各社は「実際には辞任させられた、事実上の更迭」と報じている。桜田氏はサイバーセキュリティ対策担当大臣なのにパソコンは使えないと堂々宣言したり、USBが何であるかすらも理解せず、 それが各国メディアで取り上げられると「良いか悪いかは別として有名になった」と言い始め、水泳の池江選手が白血病を公表すれば「本当にがっかりしている」と述べるなど、彼のおかしな発言は他にも枚挙に暇がない。
 彼は五輪担当大臣であり、その東京五輪は復興五輪というスローガンを掲げているにも関わらず、「東日本大震災では東北自動車道が健全に動いていたから良かった」(実際には通行止めになっている)と述べてみたり、辞任の直接的な理由となった「復興以上にー」発言の前日・4/9にも参院内閣委員会で、震災の際に津波に襲われた自治体の一つである石巻(いし”の”まき)市を、訂正されても尚「いしまきし」と連呼するような有様だった。復興を意識した、復興五輪を担当する政治家が、果たして被災自治体の名称を言い間違えるだろうか。しかも訂正されても言い間違えるようでは、単純ミスとは断じて言えない。彼は復興にも五輪にも、そしてサイバーセキュリティにも、興味もなければ尽力するつもりもないとしか言いようがない。
 3/21の投稿「復興五輪という、美辞麗句・羊頭狗肉の看板」でも、復興五輪という東京五輪のスローガンが如何に欺瞞に満ちているかについて書いた。そもそも、首相自身も五輪の招致スピーチの中で、事故原発の処理の見通しも全く立っていない中「Fukushima was “under control”」 などと述べたのだから、彼自身が復興・五輪を政治的に利用していると言わざるを得ず、 そんな者が桜田氏のような人間を五輪担当大臣として「適材適所」だとこれまで言い張ってきたことにも大きな不思議はないが、兎にも角にも安倍氏の言う「適材適所」が嘘だったことには違いはない。

 付け加えておくと、新元号発表の後間髪入れずに財務省が新紙幣を発行すると発表したが、その発表のタイミングについて、麻生財務大臣は、偽造防止の観点からこれまでも約20年ごとに変えてきたと説明し「たまたま重なった」とした(朝日新聞の記事)。しかしこれについて、東京工業大学の西田 亮介さんは、前回の新紙幣発表が発行の2年前だったのに対して、今回は5年も前というタイミングであることなどを示し、「どんなことが政治イベントとしてあるのか、政治ショーなのではないかと疑ってみるといい」としている(AbemaTimesの記事「新紙幣発表タイミングは政権浮揚利用?たまたま? 西田亮介氏「政府発表はデザインされている」」)。これに関しては、麻生氏の「たまたま重なった」が嘘とは断定できないが、それでも嘘っぽいことには違いない。

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。