ホンダカナダは、4/1・エイプリルフールに因んで、「Polite Horn/ 思いやりクラクション」と「Seatbelt Buckles/ シートベルトバックル」という動画をYoutubeで公開した。前者は、通常のクラクションだと不要な軋轢を生むことがしばしばあることから、咳払いの音がするクラクションを採用したという内容で、後者は味気ないクルマのシートベルトの留め具を飾るオプション装備という設定のようだ。咳払いの音のクラクションでも連打されたら軋轢は生まれるだろうし、そもそも咳払いの音では周囲の雑音に紛れてしまう恐れがあり、警告音として役に立ちそうにない。また金属性の豪華なバックルをシートベルトに付けたら、万が一の衝突の際に身体を損傷させる恐れがある。つまりこれらはエイプリルフール用のネタだ。
このような企業のエイプリルフールネタというのは、10数年くらい前から毎年恒例になっており、今年も多くの企業がエイプリルフールに因んだ嘘企画を行ったようだ(Gigazineのまとめ記事)。ただ、マイクロソフトは2019年はエイプリルフール禁止令をだしたそうだし(Gigazine)、日本でも「エイプリルフールの悪ふざけなし」を表明した企業が今年はいくつかあったようで(BuzzFeed Japan)、今年・2019年は昨年までと比べて少し状況が変わっているようだ。
国内外のいくつかの企業がエイプリルフールネタを自粛した背景には、ネット上に所謂フェイクニュースがはびこっており、不要の混乱が生じる事を出来る限り避ける為だと考える人が多いようだ。日本国内に限っては、継宮明仁天皇が退位することを受けて2019年5/1から使用されることになる新元号が、2019年4/1に発表されることを勘案したから、という見解も散見する。
このエイプリルフール自粛という傾向・記事を見て、「企業でなく今の首相や関係者・政府にこそ嘘の自粛・自省が必要だ」と強く感じた。現首相は息をするように嘘をつく人物である。根拠もなく嘘つき呼ばわりすると単なる中傷になりかねないので、何を以てそのようなことを言っているのかに関連する投稿を紹介しておく。
- 「皇位継承資格は皇統に属する男系男子のみ」という嘘(3.30の投稿)
- 女性活躍と言い続けているのに、実効性のある具体策を講じないという嘘(3.26の投稿、3.24の投稿)
- 候補者男女均等法を成立させたのに、その後初めての国政選挙である2019年の参院選に関して、彼が総裁を務める自民党が女性候補者数の数値目標設定すら見送るという嘘(3.10の投稿)
- 消えた年金問題に関して「最後のお一人に至るまですべて記録をチェックし、保険料を真面目に払っていただいた方々に正しく年金をお支払いしていく」と述べたが、結局実現していないという嘘(3.5の投稿)
- ニュージーランドの事件を前提に「テロと断固として戦う決意」などとしたが、2019年元日の無差別殺人未遂や2016年に相模原で起きた障害者大量殺人をテロ認定しないという嘘(3.27の投稿、1.3の投稿)
- 自国内・自分が長を務める政府内でデータの捏造・隠蔽・改ざん・不適切な廃棄や、それに伴う虚偽の答弁が横行しているにも関わらず、平然と「データの取り扱いに関する国際的なルールづくりをスタートさせたい」などと言い始める嘘への無頓着さ(3.17の投稿)
- 沖縄基地問題に関して、昨年の沖縄知事選に関しても今年の県民投票に関しても、移設工事反対の明確な沖縄の民意が示され、それに対して「沖縄県民に寄り添う、結果を真摯に受け止める」などと述べながら、工事の強行を止めないという嘘(3/2の投稿、2.20の投稿)
- 辺野古への基地移設工事に関して述べた「あそこのサンゴについてはこれ移しています」という嘘(1.8の投稿)
- 拉致問題について度々「次は私自身がキム・ジョンウン(金正恩)委員長と向きあわなければいけない」と述べるのに、実際は何もしないという嘘(3.1の投稿)
- 「税と社会保障の一体改革」を掲げて発足したはずの政権なのに、税も社会保障も改革ではなく改悪しているという嘘(2.22の投稿)
- 自衛隊に関して「都道府県の6割以上が新規隊員募集への協力を拒否している悲しい実態がある」というあからさまな嘘(2.19の投稿、2.15の投稿、2.12の投稿)
- 麻生大臣や桜田大臣、片山大臣らが「適材適所である」という嘘、遡れば他にも嘘をついた官僚や内閣関係者らも適材適所と言っていた(2.5の投稿、1.19の投稿)
- 実態を伴わない景気回復を「戦後最長の景気」と言い張る嘘(1.30の投稿)
- 昨年の杉田問題に関して「人権が尊重され、多様性が尊重される社会を目指すのは当然だ。これは政府、与党の方針でもある」と述べたにも関わらず、一向に同性愛者らの地位向上が見込まれる同性婚、又はそれに準ずる制度の法制化を与党や関係省庁に指示しないという嘘(1.15の投稿、2018年8.3の投稿)
- 「働き方改革」というスローガンを掲げているのに、彼が長を務める行政機関が、それに反するような事をやっているという嘘(1.11の投稿)
the situation is under controlで、復興五輪というスローガンも嘘にまみれていることは、3.21の投稿「復興五輪という、美辞麗句・羊頭狗肉の看板」で指摘した通りだ。勿論、嘘か不作為の誤認かの判断等は人によって異なるだろうから、ここに挙げた全てが嘘と受け止めない人もいるだろうが、いじめを行った者やパワハラ・セクハラを犯した者が十中八九「そのつもりはなかった」と言うのと同じ様に、嘘に関しても、嘘をついた者は「嘘をついたつもりはない」と言い張るものだ。そのような観点から、自分はこれらは全て安倍氏がついた嘘、若しくは彼に相応の責任がある嘘だと考えている。
そんな首相の下では公文書の改ざんや隠蔽、データの隠蔽や捏造、不適切な廃棄が横行するのも無理はない。また、首相だけでなく彼の右腕である官房長官も、矛盾する発言に関して恥ずかしげもなく「これはある意味で、虚偽じゃない」などと述べるような人物だ(3.28の投稿)。しかも彼は前述のような首相や政府内の嘘は積極的に指摘・批判しないのに、とある記者に関しては何故か強行に「事実誤認」を指摘するような人物でもある(2.27の投稿、2.13の投稿)。
首相は官房長官のこの言動について、「内閣の要の人物が一日二回(記者会見を)やっているのは他の国に例がないだろう。こちらも最大限の努力をしていると理解してほしい」などと述べている。つまり会見の回数を多くやってるんだから大目に見ろと言わんばかりだ。官房長官が記者に対して事実誤認を指摘しているのは、辺野古移設工事に関する話である。首相と官房長官がお互いに、全く論理的でない理由で擁護し合っているのは最早滑稽・残念としか言いようがない。
これらが、「今の首相や関係者・政府にこそ嘘の自粛・自省が必要」と、エイプリルフールに際して自分が強く感じた根拠だ。
昨日のテレビ欄を見ていると、NHKは午前中を丸々割いて新元号に関する特別番組を放送していたようだ。日中テレビを見る事は出来なかったが、SNS等を見る限り、どの局(テレビ東京を除く)もほぼ1日中新元号に関する内容を放送していたようだ。また、18:00以降のニュース・情報番組をいくつか見たが、テレビで放送されているのは、軒並み「新元号発表に浮かれる人達」だった。というか出演者らも、アナウンサーなども含めてほぼ全員が浮かれているように見えた。
自分の周りにも、新元号発表にある程度の期待を寄せていた人もいたが、「どうせ新元号なんて使わないからどうでもいい」と冷めた目で見ていた人もいた。中には「元号なんていらない」と否定的な人もいた。にもかかわらず、何故かテレビが映しているのは「新元号の発表に浮かれる人達」ばかりだった。自分の周りが世間の縮図だとは思っていないし、新元号に対して冷ややかな者・否定的な者が少数派なのかもしれないが、そのような感覚の人達がいる事も事実なのに、なぜテレビは浮かれる人達だけしか取り上げないのかに強い疑問を感じた。
その疑問について考えていると、浮かんできたのは
テレビが新元号について浮かれる人しか取り上げないのは、「新元号は全国民が好意的に受け止めています」という、エイプリルフールに因んだ嘘、テレビ局の粋な計らいのつもりなのだろう、ということだ。だから政府はエイプリルフールを新元号の発表日に選んだのだろう。エイプリルフールを使って、政府の意向どうりの大本営発表報道をテレビ各局にさせる政府はやっぱり嘘つきだ、ということを再確認させられた。