毎週末、大体どこかの世論調査が行われていて、日曜の夜か月曜の朝には何かしらの調査結果が報じられる。昨日は共同通信の世論調査が行われたようで、昨日の夜頃から「内閣支持率42%、不支持が逆転 昨年12月以来、共同通信調査 | 共同通信」という話が話題になっていた。反応の多くは不支持が支持を逆転ということを強調していたが、記事を見れば分かるように、その差はたった0.3%しかなく、誤差の範疇と言っても過言ではない。それでも支持は先月から6%減少、不支持は6%程度の増加だそうだから、現政権に不信感を感じている人が増えているのは間違いなさそうだ。
しかしそれでも、以下の投稿などで書いたように、先月から現在まで、あれ程首相や官房長官、内閣府や消費者庁などの役人、そして与党政治家らが、あからさまに辻褄の合わない話や明らかな嘘を、国会の内外で披露し続けたのに、それでもまだ4割もの人達が現政権を支持していることを考えれば、不支持が支持をたった0.3%逆転したという話などに一喜一憂することよりも、4割もの人達が未だに政権を支持していることへの危惧の方が優先度は高いだろう。
- 反社会的勢力の定義すらできないのに改憲などできる筈がない
- 今の政権/与党は「ざんねんなせいじか図鑑」
- 晋三安倍の筋が通らない話
- 自民党が「桜を見る会」集中審議に応じない理由
- 自民党:総理は十分に説明を果たしている(…溜息)
この週末に世論調査を行ったのは共同通信だけではない。テレビ朝日/ANNも世論調査を行っており、「2019年12月調査|世論調査|報道ステーション|テレビ朝日」によると、支持は40.9%(前回比-3.5)、支持しないは40.6%(-6.3)と、辛うじて支持が上回っているものの、傾向は共同通信と同じだ。
ANN世論調査では支持/不支持理由も公開している。
相変わらず支持理由のトップは「他の内閣よりよさそう」で約半分を占める。前述のように、首相を始めとした政府関係者や与党幹部などが嘘/辻褄の合わない話を披露しているのを知っているにもかかわらず、「他よりよさそう」と言っているなら、その人達の人間性自体も危惧する必要があるだろうし、そのような話を知らずに「他よりよさそう」と言っているのなら、それは明らかな政治的な盲目であり、トップ画像で用いられている
Don't think, don't ask, pay tax, vote for us.つまり、「何も考えるな、何も聞くな、無心に税金を納め、私たちに投票しろ」と暗に言っている政治家や政党に疑問を感じることなく、従う、投票する、称賛するようなことになりかねない、というか、少なくとも有権者のおよそ1/4程度の人達がそうなってしまっている恐れがある。
興味深いのは、前述のサイトには記述がないが、ANNは「次の自民党総裁に誰が良いか」も調査しており(「桜を見る会」総理更に説明必要59% ANN世論調査)、
それによれば、石破氏が25%でトップ、前回・8月の調査でトップだった小泉進次郎環境大臣は18%で2位、現首相・安倍氏は14%だったそうだ。共同通信の世論調査結果ではあるが、
首相主催の「桜を見る会」の疑惑に関し、安倍晋三首相は「十分に説明しているとは思わない」は83.5%に上った。首相の自民党総裁4選に反対は61.5%だった。
政府が23日に閣議決定する方針の海上自衛隊の中東派遣については反対が51.5%、賛成は33.7%だった。そうなので、明らかに安倍氏に対する不信が支持率下落の原因だ。なので、自民党内で安倍氏の姿勢に対して最も懐疑的であり、一貫して批判と指摘を続けている石破氏がトップになるのは必然的だが、12/14の投稿でも触れたように、所謂セクシーで中身空っぽな環境大臣で、近頃は意味すら不明な発言までし始めた小泉 進次郎氏が、前回調査の27%から大幅に数字を減らしたものの、それでもまだ18%もの数字を集めているのが解せない。
この数字も政治的な盲目によるところが大きく、まるでアイドルか何かを選ぶかのように、イメージだけで支持/不支持、投票先等を決めている人達がいることの表れだろう。
因みに安倍氏の14%という数字は、誤差の範囲と言えるかもしれないが、前回の13%からは上昇している。しかし、前回も今回も、所謂セクシーで中身空っぽ、近頃は意味すら不明な発言までし始めた小泉氏にも劣っている、とも考えられる。
そんな話は別として、前回調査でも今回調査でも、次の自民党総裁についての調査結果のトップ3は石破/小泉/安倍の3人で変わりがない。
前回と今回の差は石破氏と小泉氏が集めた数字が逆転した程度である。つまり、積極的/消極的に関わらず、自民党支持者の認識は、直近の「桜を見る会」の問題や、環境大臣に就任後、明らかに中身のない話を繰り返している小泉氏を目の当たりにしても変わらない、もしくはそのようなことに興味がない、もしくは意図的に目を背けている、のどれか、又はその組み合わせである恐れが強く、それでは民主主義は絵に描いた餅にしかならないと危惧する。
憲法12条には
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。とある。「憲法が国民に保障する自由及び権利」には当然、憲法15条で規定されている国民が政治に参加する権利「参政権」も含まれている。つまり、現政権や与党の現状を把握した上で、それでも現政権を支持する、安倍氏や小泉氏が次期自民党総裁に相応しいと考える自由は当然あるのだが、現政権や与党の現状を把握せずに、現政権を支持する、安倍氏や小泉氏が次期自民党総裁に相応しいとするのは、民主主義を維持する不断の努力をしていないとうことになりはしないだろうか。
それは現政権や与党に限らず、野党についても、そして自民党以外が政権を担うことになっても同じで、政治へ興味を抱かずに、イメージだけで支持/不支持、投票先等を決めることは、「民主主義を維持する不断の努力をしていない」に該当する恐れがある。つまり憲法違反を犯していることになるかもしれない、ということだ。SNSを見ていると、政治について主張している人の中にさえ、自分にとって都合のいことにしか目を向けていない人、つまり憲法の精神を蔑ろにしている人が少なくないように思えてならない。
参考:REAL POLITICS JAPAN : 世論調査(各世論調査のまとめ/比較)
トップ画像は、Photo by Paweł Czerwiński on Unsplash を使用した。