「安倍内閣支持6ポイント減 桜を見る会「問題」65% 毎日新聞世論調査 - 毎日新聞」によると、11/30-12/1にかけて毎日新聞が行った世論調査で、内閣支持率は42%、不支持は35%という結果が出たそうだ。少し前まで各メディアによる世論調査で50%前後の支持率が出ていたことを考えれば(例:11/11の投稿、11/18の投稿)、42%という支持率はかなり減ったとも言えるだろう。しかし、これまでに書いた「桜を見る会」に関する投稿でも指摘してきたように(投稿リストは後述する)、首相や官房長官、その取り巻きの官僚らが、すぐにバレる稚拙な嘘をついたことが複数件明らかになっており、その直後に実施された世論調査なのに、それでもまだおよそ4割もの人が政権を支持すると言っているようだし、約2割の人は「俺政治のことは知らない」と他人事であると捉えることも出来る。
これが、自分がこれまでに書いた「桜を見る会」問題に関する投稿のリストである。
- 「花見」を口実にした、税金で行う支持者接待の会
- 頭隠して尻隠さず政権
- カルト宗教ならぬカルト政党によるカルト政治
- ビジネス現場で「分からない」は禁句
- 分別ある大人なら飲食しなくても会費は払う
- 桜を見る会は「政権が変わる程のことではない」という話の脆さ加減
- cover up a fact:事実を覆い隠す・隠蔽する
- 「問題だと思う」65%
- 「問題だとは思わない」22%
- 「明らかにすべきだ」64%
- 「明らかにする必要はない」21%
昨日・12/2は参院本会議が行われた(「桜」攻防ヤマ場に 安倍首相、2日に本会議答弁―臨時国会:時事ドットコム)。野党の質疑は「桜を見る会」、それもマルチ商法で行政処分を受け、特定商取引法違反容疑で今年・2019年4月に家宅捜索を受けたジャパンライフの当時の会長を、2015年度の会に招待していたこと、招待を推薦したのが首相であるという指摘に終始していた。前述の投稿リストでも「桜を見る会」に関する複数の問題点に触れているように論点は複数あるのだが、 与党・自民/公明は
総理は十分に説明を果たしている
として、野党が求める予算委員会の開催に応じない姿勢であり(桜を見る会、首相の説明 焦点に TBS NEWS)、昨日の本会議が今国会で最後の首相を追及できる場になる恐れがある為、焦点を絞る方針になったのだろう。
首相は昨日国会答弁の中で、「桜を見る会」の今年の招待者名簿を政府が野党議員から資料要求を受けたのと同じ日・5/9にシュレッダーで破棄したことについて、
野党議員からの資料要求とはまったく無関係であるとの報告を受けていると答弁し(桜を見る会名簿廃棄、首相「野党の資料要求とは無関係」:朝日新聞デジタル)、「名簿をシュレッダーで破棄したのと同時期に削除した」と内閣府が主張する電子データの復元に関しては、
個々の端末でなくサーバでデータを保存するシンクライアント方式だ端末にデータは保存されておらず、サーバのデータを破棄後、バックアップデータの保管期間を終えた後は復元は不可能だとの報告を受けているなどと答弁した(桜を見る会名簿 首相「データ復元は不可能」:日本経済新聞)。
この彼の答弁からも、安倍氏の無責任さ加減が感じられる。まず前提として、安倍氏はつい数日前の参院予算委員会で
(桜を見る会の)招待者の取りまとめ等には関与していないと述べたにも関わらず、その後の参院本会議で
私の事務所が内閣官房からの推薦依頼を受け、幅広く参加希望者を募ってきたと承知している。私自身も事務所から相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあったと、明らかに矛盾した答弁をしており、言い換えれば「招待者の選定には関与していない」と国会で堂々と嘘をついた人物である(東京新聞:首相の説明にほころび 桜を見る会、推薦に関与:政治(TOKYO Web))、ということを認識しておいて欲しい。
昨日の答弁の中で彼は「との報告を受けている」 という表現を複数回用いているのだが、それは前述のような答弁の矛盾、つまり嘘を指摘された際に「私は関係者からそう報告を受けただけ」という体裁での言い逃れが出来るように、ということを勘案した表現のように見える。つまり政治家が不適切な行為・言動を指摘された際に用いる言い逃れの常套手段である、秘書や官僚、つまり「部下が勝手にやったこと」にする為の布石ではないだろうか。彼は政権のみならず全ての行政機関の長であり責任者である。部下の報告を公表する場合に、責任者が責任を負うのは当然のことだが、彼が長を務める政権では、財務事省で起きた公文書改竄事件でも、結局官僚が罪がを負わせられて責任者の責任は有耶無耶になった。
彼はなぜ「無関係である」「復元は不可能だ」と自信を持って発言せずに「との報告を受けている」と濁すのか。彼が積極的にこの件の調査をするつもりがないことが、この答弁からも強く推測できる。
また、シンクライアント方式なのでデータ復元できない云々という話に関しても、「桜を見る会新ワード「シンクライアントって何?|せやろがいおじさん|note」など、既に各所でその支離滅裂さが指摘されている。しかし、彼がそのような支離滅裂な答弁を平気で国会でするのはそれ程不思議なことでもない。何せ彼は、USBがなんであるか知らないどころか、PCを使ったことすらないという者を(「世界で有名になった」桜田義孝大臣の止まらない”笑撃答弁“ 自宅には矢印付きの謎の看板が…〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット))、適材適所としてサイバーセキュリティ担当大臣に任命した人物だからだ。
因みに昨日は「いまだに7県がインターネット未公表 政治資金収支報告書 | NHKニュース」という報道もあった。
USBを知らずPCを使ったこともない人物が適材適所としてサイバーセキュリティ担当大臣に任命され、首相が仕組みもよく分かっていないクライアントサーバーシステムの話を、「との報告を受けている」という保険をかけて堂々と国会で述べる国にありがちな話に思えた。因みに7県の内の1つには、首相の地元・山口県も含まれている。
また、安倍氏はジャパンライフの元会長との関係について問われ、
(元会長と)多人数の会合などの場で同席していた可能性までは否定しないが、1対1のような形で会ったことはないと答弁し、元会長と「個人的関係は一切ない」昭恵夫人についても「面識はない」と主張したそうだ(ジャパンライフ元会長と関係「一切ない」 「桜」名簿隠蔽批判に反論―安倍首相:時事ドットコム)。しかしこの話だって、前述の直近の嘘や、森友学園問題に関して、
私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめると答弁したにも関わらず、昭恵夫人の関与が明らかになると、「関係していた」というのは「贈収賄していたら」という意味だと言い始めるような者(「アベ流言葉」が空疎に響いた国会 - 徳山喜雄|論座 - 朝日新聞社の言論サイト)の説明であることを考えれば、そのまま信用することなどできない。彼の示した見解は「複数人ではしばしば顔を合わせていた」「個人的な関係はないが組織的な関係はあった」という意味かもしれない。
京都新聞は「総裁選直前の「桜を見る会」京都府議と滋賀県議全員に招待状 例年は幹事長ら一部のみ」という記事を11/30に掲載しているのだが、それでも自民党幹部らは「総理は十分に説明を果たしている」と胸を張って言えるのだろうか。自分は相応にメディアの報道に目を通しているが、首相がこの件について説明しているという話は一切耳にしていない。
また「桜を見る会は「政権が変わる程のことではない」という話の脆さ加減」でも書いた、菅官房長官が会見で示した
反社会勢力について、さまざまな場面で使われることがあり、定義が一義的に定まっているわけではないと承知しているという見解が正しくないことを、「東京新聞:<論戦ファクトチェック>桜を見る会の「反社会的勢力」 菅長官「定義ない」 実際は安倍内閣が07年定義:政治(TOKYO Web)」が指摘している。
こんなにいい加減で杜撰な話を、首相や官房長官と周辺の官僚が連発する状況にも関わらず、なぜ与党は予算委員会開催に応じて追及しようとしないのか。結託して隠蔽をアシストしているとしか考えられない。そう感じられるのは、既に忘れている人もいるかもしれないが、 自民党の二階幹事長の11/12の発言によるところも大きい(自民・二階幹事長「桜を見る会」支持者の参加は当然 テレ朝ニュース)。
二階氏は
誰でも議員は選挙区の皆さんに機会あるごとに何かできるだけのことを呼び掛けてご参加頂くことに配慮するのは当然ではないかと思うと述べ、「桜を見る会」に総理の地元支援者が多数招待された件について、支持者の参加は「当然」だという認識を示した。また、参加者の推薦枠が自民党議員に割り当てられているという指摘について、二階氏がその枠を使って招待したかについては
あったって別に良いんじゃないか。問題になるようなことはあるのかと述べていた。何故かその後二階氏の姿は殆ど見えなくなっている。
因みに、昨日は「自民、二階幹事長に資金8億円 でもその先の使途見えず:朝日新聞デジタル」 という報道もあった。
こんな状況でも内閣の不支持率はたった35%でしかないので、このままでは日本社会の劣化は更に進むだろう。政治家は有権者の代表であるから、政治のレベルは有権者のレベルを超えることは殆どない。つまり、政治の状況はその国の有権者の実状そのものだからだ。
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