今日の投稿のトップ画像は、課金にも広告にも頼らず収益を増やせる方法として、新たなプロジェクト「Unsplash for Brands」を始めたことでも話題の(課金にも広告にも頼らず収益を増やせる方法として無料画像サイト「Unsplash」が開始した「Unsplash for Brands」はどんな内容なのか? - GIGAZINE)、写真素材サイト・Unsplash でNightmareで検索した結果から選んだ1枚だ。なぜNightmare/悪夢で検索したのかは、読み進めて貰えれば分かる。
この写真に写っているのは、1993年に公開されたストップモーションアニメ映画・The Nightmare Before Christmas に登場するキャラクターの、ジャック スケリントンだ(ナイトメアー・ビフォア・クリスマス - Wikipedia)。
昨日ハフポストが「経済30年史の主なできごと年表【特集:平成経済】」という記事を掲載していた。この記事は「[特集:平成経済プロローグ]経済30年史の主なできごと年表|」の転載記事で、平成の30年間を1年ずつ1枚の画像にして並べたビジュアルストーリー主体の記事だ。次の画像は平成元年をまとめたもので、
このように、各年ごとにその年を象徴する経済関連の出来事を挙げ、右側に当時の総理大臣とその年の経済成長率が添えてある。経済成長率とは何か、は「経済成長率(けいざいせいちょうりつ)とは - コトバンク」を参照するとよい。この記事では、IMF「World Economic Outlook Database, October 2019」の数値を表記しているようだ。
自分はこの記事を見て次のようにツイートした。
安倍氏「悪夢の民主党政権」って言いがちだけど、これを見る限り「悪夢のリーマンショックと震災」が実態。だって2010年(鳩山/菅政権時)の成長率4.2%を、安倍氏は第1次も含めて1度も超えてないじゃん。自分の知る限り、安倍氏が「悪夢の民主党政権」と言い出したのは、今年・2019年2月だ(2/11の投稿)。彼がどんな文脈でそう述べたのかについては「安倍首相が党大会で「悪夢のような民主党政権」 - 社会 : 日刊スポーツ」などが報じている。記事によれば、安倍氏は党大会での演説の中で、2019年4月の統一地方選/7月の参院選、所謂亥年選挙を目前に、12年前の亥年選挙の参院選で民主党に敗北を喫したことを前提に「悪夢のー」と述べている。また記事には、
それってあなたが「止めて頂きたい」ってよく言っていた、「印象操作」でしょ。
首相は、第1次安倍政権の時に行われた12年前の亥年選挙を振り返り、「参院選の惨敗は当時総裁だった私の責任。片時たりとも忘れたことはない。わが党の敗北で政治は安定を失い、決められない政治となり、経済も失速した」と指摘した。「(今回も)厳しい戦いになるが、まなじりを決して戦い抜く。その先頭に立つ決意だ」と述べ、統一地方選についても「力を合わせて勝ち抜こう」と訴えたとある。つまり彼が「悪夢の民主党政権」と称するのは、具体的には
政治は安定を失い、決められない政治となり、経済も失速した民主党政権という意味だろう。安倍氏が用いる「悪夢のー」という表現や、前述の彼の認識は、果たして妥当だろうか。
「経済30年史の主なできごと年表」を見る限り、安倍自民政権下の経済成長率は2006-07の第1次政権も含め、2%を超えたことがない。一方で、民主党政権下の2010年には4.2%もの成長率があった。この2010年の成長率は、2008年に起きたリーマンショックの影響で2009年に大きな経済の停滞、というか衰退があったことの反動でもあるが、リーマンショック時の自民党政権(2008年・福田/麻生)でも経済成長率は-1.1%だったので、-5.4%直後の4.2%だったとしても、悪夢だったのは民主党政権ではなくてリーマンショックというのが妥当な認識になりそうだ。
また、4.2%の成長率を記録した翌年の2011年は、東日本大震災と福島原発事故があったが、経済成長率のマイナスは0.1%にとどまっている。前年に4.2%もの数字を記録した経済成長率が鈍化したという意味では悪夢かもしれないが、それでも悪夢の原因は震災で、尚且つ、12月まで民主党・野田政権だった2012年の経済成長率は1.5%に回復している。民主党政権だったから震災が起きたわけではないし、震災の翌年には成長率はプラスに転じており、「悪夢の民主党政権」という表現の妥当性は低い、というか、無いと言っても過言ではない。
2012年の12月の衆院選で自民党が政権交代を果たし、それからおよそ7年間安倍自民政権が続いているのだが、その間の経済成長率は、前述の記事でも示されているし、1/30の投稿でも示した次の画像のように、
どの年も2%を超えない。リーマンショック時は麻生政権で、その年は-1.1%の成長率だったが、世界経済の影響なので誰が政権を担っても景気はある程度悪化したはず、という話もある。もしそれが妥当性のある話なら、2012-18年の間、世界的にはアメリカや中国などを中心に景気は軒並み良好で、安倍氏が首相でなくともこの程度の成長率は実現できた、ということになるだろう。手柄は自分だけのもののように語り(騙り?)、責任は他へ擦り付けるのはフェアじゃない。
つまり、民主党政権が悪夢であれば、その前の福田/麻生による自民党政権だって悪夢だし、世界的には景気がよかったのに、この程度の成長率しか出せない安倍自民党政権だって悪夢だと言えるだろう。
しかも、1/27の投稿でも書いたように、2018年12月には、実質賃金の数値にも関わる、厚労省による毎月勤労統計調査の不正が発覚しており、この数字にさえも粉飾の恐れがある。これが発覚した際、統計不正は2004年から行われてきた、という話になっていて、当時から「だったら民主党政権だって…」という話があるが、もし不正が同じ様に行われていたとしても、4.2%という大幅な成長があった民主党政権の方が、安倍自民政権よりも遥かにマシという話にしかならないし、不正をしていたのに、-5.4%という前年の大幅マイナスをなぜ粉飾しなかったのか?という疑問も出てくる。勿論、実際はもっとマイナスだったのを粉飾した結果が-5.4%という数字だった、という恐れがないとは言えないが。
ここまでの話を総合して考えれば、、安倍氏の言う「悪夢の民主党政権」という表現は、安倍氏が加計学園問題に関する追求に対して「止めて頂きたい」と連呼していた「印象操作」に他ならない(「印象操作」首相が連呼 野党「どこで覚えたのか」:朝日新聞デジタル)。
安倍氏が自分に都合のよい解釈だけを強調し、都合の悪いことは一切無視する人物であることは、12/10の投稿で書いた、
彼は、憲法改正について議論すべきという世論調査結果が出ていることを、憲法改正を推進する理由の1つとして挙げ、自民党は議論をする党、しかし野党は…という見解を示しているが、ならば前段で触れた、「桜を見る会について政府は妥当な説明をしていない」という世論調査結果も尊重し、自民党総裁として与党が予算委員会の開催や会期延長に応じるように指示するべきだし、この首相としての記者会見でも、これまでの「桜を見る会」が如何に妥当な会だったかを、自らの口で説明すべきなのに、その話題には殆ど触れていない。という話などからも明らかなので、驚きは全くないのだが、前述の自分のツイートには相応の反応があり、それでも安倍氏を擁護しようとする人物が少なくないことは残念だ。というか、「残念だ」で片付けられるような程度の話ではない。
つまり安倍氏は、世論調査結果の自分にとって都合のよい部分だけをつまみ食いしているとしか言えない。
この投稿では冒頭では少し映画「ナイトメア ビフォー クリスマス」に触れた。この映画のタイトルは、米国では誰もが知っているような詩「サンタクロースがきた/The Night Before Christmas」をもじったものだそうだ(サンタクロースがきた - Wikipedia)。
「ナイトメア ビフォー クリスマス」というタイトルは、直訳すると「クリスマス前の悪夢」だ。昨日の投稿でも書いたように、直近の「桜を見る会」の問題や、環境大臣就任後、小泉氏が明らかに中身のない話を繰り返しているのはまさに、2019年の「nightmare before christmas」だし、それを目の当たりにしても、又はそのようなことから目を背け、現政権を支持する人がおよそ4割もいて、次の自民党総裁に相応しいのは?という調査で、安倍氏や小泉氏が2位/3位に上がるという状況も、2019年版「nightmare before christmas」に他ならない。
トップ画像は、Photo by Christin Noelle on Unsplash を使用した。