日本人、だけなのかは定かでないが、初志貫徹とか、継続は力なり、などの言葉や概念が好きだ。一度始めたらとりあえず続けるべきだ、という感覚を持っている人は決して少なくない。バスケットボール漫画の金字塔、スラムダンクの「あきらめたらそこで試合終了ですよ…?」という台詞もかなり有名だ(2020年5/11の投稿)。
でも、何でもかんでも続ければいいというわけでもない。一度打ち始めたパチンコ台だからと言って、その台が出るまで何万もお金を溶かすのは明らかに愚かな行為だ。パチンコに限らず、致命的に損することが明らかなのに、一度決めたからと湯水の如くお金をつぎ込むのは愚かだ。そこに初志貫徹の良さは微塵もない。継続しても力にならない。寧ろ足枷になる。さっさと諦めて試合終了にする方が得策、間違いなくそんなことも世の中にはある。
初志貫徹が適切か、継続が力になるか。それは何をするかで変わる。強盗殺人しようと決めたのでそれを初志貫徹する、その完遂の為に継続的に努力する、それは褒められることではない。
自分は基本的にチェックできる範囲でしかツイッターのフォローをしない。その人のツイ―トを読み切れないのにフォローしても意味がないと考えているからだ。だから常時40-50程度しかフォローしていないのだが、他の人はそうではないようで、自分にはフォロワーが400人くらいいるが、殆どのツイ―トには反応がない。あっても1桁の反応があるかないかだ。
自分のツイ―トを少しでも多く誰かに読んで貰いたいなら、のべつ幕無しにフォローを増やすことでフォローバックを得て、リツイートして貰える機会を兎に角増やす方がいいんだろうが、個人的には反応を得ることを最優先にSNSをやるのは泥沼の入り口だと思っているので、そういうことはしたくない。そもそもツイートを読まない/読めないのにフォローするのは失礼だとすら思っている。但しそれは個人的な規範であり、その感覚を他の人にも適用する気はない。その感覚はツイッターを始めて以来初志貫徹している。
そんな自分のツイートにも、たまに2桁以上の反応が集まることがある。そのほとんどは漫画家・ぼうご なつこさんの漫画の引用リツイートであり、ぼうごさんがリツイートしてくれると2桁以上の反応がある。それでも2桁から200以下の反応が平均的なのだが、昨日のツイートには1000以上の反応があった。それがこのツイートだ。
前から言っているけど、民主を3年で見限った有権者、なんで自民は8年も大目に見ているの?
— Tulsa Birbhum / タルサ ビルハム (@74120_731241) October 27, 2021
アベノミクスとやらで収入は増えた?消費増税で老後の安心感は得られた? 収入は増えず、大企業優遇と防衛費増額だけが行われ、社会保障は削られているよ? https://t.co/ZKQsRUPeEJ
このツイートで「前から言っているけど」としているのは、9/6、9/11にも同じようなツイートをしていたからだ。それらのツイートへの反応は例によって1桁で、ツイッターで話題になるかどうかは、多数のフォロワーを抱えるハブになっている人にリツイートされるかどうかに大きく左右される、ということがよく分かる。
民主を3年で見限った有権者、なんで自民は8年も大目に見ているのか、という表現は用いていないが、同種の話は2/1の投稿でも書いている。
2012年末に起きた民主党から自民党への政権交代当時、首相が毎年のようにコロコロと変わっていては出来ることもできない、という話があった。確かにそれでは一貫性のある政治は望めない、と自分も思った。また、民主党は党内の一体感が薄く、与党になる前に謳っていたことの大半を実現できなかったという失望感もあった。恐らくその反動で、そしてそこへ上手くつけ入ったことで、安倍自民政権は長期政権化できたんだろう。
しかし、安倍自民政権に果たして一貫性はあったのか。純粋に一貫性があったかどうかだけで言えば、確かに与党になった後の姿勢には概ね一貫性があった。但し、自民党は政権に返り咲く前の野党時代、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」というスローガンを掲げていたにもかかわらず、政権交代後TPP推進に転換しており、一貫性はなかったし、ウソつかないもブレないも嘘だった。
改造内閣の8氏/衆院選の公約でTPP反対だった/森山裕農林水産相、林幹雄経済産業相、高木毅復興相、塩崎恭久厚生労働相、麻生太郎副総理・財務相、高市早苗総務相、中谷元・防衛相、遠藤利明五輪担当相
このブログでは度々指摘しているが、前回・2017衆院選で自民党が掲げた「全ての子どもを対象とした保育無償化」という公約も、選挙後すぐに反故にしている(2018年6/2の投稿)。率直に言って、自民党には一貫性があるとか、ブレないとか、ウソつかないなんて話は全く事実に反する。
しかし、アベノミクスという経済政策に一貫性があったことは事実だろう。しかしアベノミクスは、年金運用による官製バブル、消費税増税などを原資とした大企業優遇政策であり、庶民には殆どなんの恩恵もなかった。2019年初頭まで政府とメディアは戦後最長の景気だと、実態とかけ離れた宣伝を一貫して行った(2019年1/30の投稿)。大企業や富裕層の優遇、実態とはかけ離れた印象操作を続ける、という意味では一貫性があったしブレなかった。しかしウソはつきまくっていた。寧ろ嘘まみれだった。
この投稿の冒頭や2019年10/25の投稿でも書いたが、何でもかんでも継続が力になるわけではない。さっさと諦めないと損失損害がどんどん膨らんでいくこともある。日本には、「継続は力なり」という慣用句がある一方で、「諦めが肝心」「引き際が肝心」という、撤退する時は撤退するべき、潮時を見極めることが大事だということを示す表現もある。
進んできた道が間違っていると薄々気づいているのに、一度選んだ道だからとそれを認めず進み続けるのは間違いだ。間違ったまま道を進んでしまえば進むほど、リカバリーはどんどん大変になる。正しい道に戻るのにかかる時間が増える。少しでも早く立ち止まり、引き返す決断をすることが重要だ。
トップ画像は、道 まっすぐな通り ルート - Pixabayの無料写真 を使用した。