少し前から、#狂ってないか日本のテレビ というハッシュタグをツイッターでよく見かける。このタグが最初に用いられたのがいつかは調べていないが、もし最近使われ始めたのだとすると、最初にこれを使った人はどうかしている。なぜなら、日本のテレビが狂っているのは明白なのに、狂っている、ではなく、狂ってないか、と疑問、若しくは懸念を示す表現になっているからだ。
国民が投票権を持たない自民党総裁選よりも、国民が投票権を持つ衆院選の方がテレビでの放送時間が少ないっておかしいだろ。#狂ってないか日本のテレビ pic.twitter.com/Oc8JbCRr5W
— 大神ひろし (@ppsh41_1945) November 14, 2021
日本のテレビ報道がおかしいのは今に始まったことではなく、少なくとも2014年頃にはおかしくなり始めていた。報道の自由度ランキングの推移を見ても分かるように、民主党政権から自民党政権に変わった2013年以降、日本の順位は大きく下がった。その影響が、特にテレビ報道に反映されいている感は否めない。
MEDIAの言葉:報道自由度ランキング | 毎日新聞
何度か書いているように、自分は現在、報道番組のみならずテレビ全般、地上波放送をほぼ見ていない。以前は、おかしいなと思いつつも、それまで同様にテレビを見ていたが、2019年の夏ごろに日韓政府の対立が激化した際に、テレビ報道や情報番組が嫌韓に染まったこと、自国政府閣僚のスキャンダルよりも韓国法相候補のスキャンダルばかり取り上げたことなどによって、まず報道/情報番組を見なくなった。
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そして、テレビ報道/情報番組のバランス感覚が狂っている状況は、その後も改善しないどころかむしろ悪化しているように思え、そのようなテレビ局に対する全般的な印象が悪化し、テレビ関係者やタレントらなど、そんな不誠実なテレビ局から仕事を得ている人達が、テレビ局の姿勢をほとんど批判しないことにも嫌悪感を覚えるようになった結果、地上波全般を殆ど見なくなった。
直近でもおかしいと思えることは複数あって、たとえば、自民党に近しく、多くのWebサイト管理などを任されていた企業が、Dappi
なるツイッターアカウントで野党議員などへの誹謗中傷、デマなどをまき散らしていた問題や、先日の衆院選において、茨城6区で当選した自民党・国光
文乃衆の支援団体が、首相
岸田による応援演説が行われた際に、5000円を支払うことで聴衆を動員した疑いなどは、もしこれが野党による行為だったら、疑惑の段階でもテレビの情報番組、そしてニュース番組も大きく取り上げそうなものだが、各局報道のWebサイトや、所謂テレビ欄、放送予定を見る限り、取り上げた形跡が見られない。
同じ様な状況は、安倍/菅政権で複数の大臣を歴任し、岸田政権でも当初は外務大臣を、そして岸田体制となって党幹事長に任命された甘利が、選挙区で落選し自任したことに伴い、現在は自民党幹事長の座にある茂木 敏充に関する、茂木が経済産業大臣の頃に官僚が作ったとされる”細かすぎる対応マニュアル”が明るみに出た件にもある。この件もテレビは殆ど触れていないようである。
衝撃!官僚が作った「茂木新幹事長対策マニュアル」のヤバい中身 | FRIDAYデジタル
記事によれば、これほどまでに事細かな対応マニュアルは異例だそうで、茂木氏の逆鱗に触れた役人は大勢おり、これ以上被害者を増やさないために、細かいマニュアルが作成され、引き継がれていたそうだ。
たとえば、煙草に関しての項目にこんな風に書かれている。
何よりもまずタバコ。タバコが吸えるか吸えないかで大臣の機嫌が大きく変わる。
そしてそれ以下に、銘柄はセブンスターだとか、タバコとライターはお付きが常に持ち歩いているとか、ありとあらゆる場所で吸える環境を準備しろだとか、そんなことが書かれている。つまり、機嫌が大きく変わる、とは、タバコが吸えないと機嫌が悪くなって周囲の者、つまり部下の官僚に当たり散らすから注意しろ、という意味だろう。この件については、フライデーの記事の数日前に掲載されたMAG2NEWSの記事にも書かれている。
2014年に、機内でのナッツの提供の仕方に激怒した、大韓航空副社長だった韓国財閥令嬢が、滑走路に向い始めていた旅客機を搭乗ゲートに戻らせて、機内サービス責任者を当該便から降ろし、旅客機運行を遅延させるということが起きた。
この件を発端に、当該韓国財閥令嬢の我儘っぷり、パワハラ気質が注目され、更には他の財閥二世/三世の理不尽なふるまいにも批判が集まることになった。
これに関して日本のテレビ局は、情報番組などでナッツ姫・水かけ姫などと何度も何度も、取り上げていた。たとえば次の記事は、当該事案から4年後の2018年のフジテレビの記事である。
ナッツ姫の妹は“水かけ姫”…キレやすい姉妹?またパワハラ騒動
フジテレビに限らず、あんなにも韓国財閥令嬢らの我儘っぷり、パワハラ気質を取り上げていたのに、なぜ自国の大臣、与党幹事長の我儘っぷりやパワハラ気質はスルーしているのか。
パワハラ気質が指摘されているのは茂木だけでなく、菅や麻生、河野 太郎 なども同様だが、それらを取り上げるテレビ報道/情報バラエティ番組は、テレビ各局の報道WebサイトやTwitterを検索した限り、殆どないようだ。
このように、日本のテレビ局のバランス感覚が狂っているのは明白なのだから、それを指摘するハッシュタグは、#狂ってないか日本のテレビ ではなくて #狂っている日本のテレビ を用いるべきだ。