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カップ麺1つ400円・パート妻の月収25万円を忘れるな


 BuzzFeed Japanの3/30の記事「打首獄門同好会が「コミックバンド」と名乗れない理由」で打首獄門同好会というバンドの存在を知った。昨年・2018年12月頃に、ベースのJunkoさんが、その風貌からは中々想像し難い年齢・還暦を迎えたということが話題になっていた(ロッキンオン「打首獄門同好会のベース・junkoが還暦を迎えたことを報告」)ので薄っすら存在は知っていたが、楽曲を聞いたのは前述のBuzzFeed Japanの記事に掲載されているPVが初めてだった。
 面白い曲がいくつも紹介されており、俄然彼らに興味が湧き、彼らのYoutubeチャンネルやSNS等を遡り、どんなバンドなのかを調べた。10代後半にパンクやハードコアに嵌っていた自分は、彼らの曲風から、ニューヨークのハードコアバンド・Murphy's Law(マーフィーズロウ)や、日本語曲をパンク版にアレンジして多数カバーしているイギリスのパンクバンド・Snuff(スナッフ)を思い出した。ハードコアもパンクも、反権力と同じくらい日常を歌った曲が多い庶民的な、所謂労働者階級的なジャンルでもあるのだが、日本のハードコアやパンクバンドは割と格好つけた感じのバンドが多く、やっとこういうバンドが売れるような状況になったかと、何となく嬉しくも感じていた。


 その頃、事務所かレコード会社かが彼らのプロモーションに力を入れていたのか、 NHKを始め幾つかのテレビ番組にも出演していたのを見かけた。話題になったからそれらの番組に呼ばれたのか、プロモーションに力が入ったから話題になったのかは分からないが、どちらの側面もあるように見えた。
 5月になると「打首獄門同好会、安倍首相を表敬訪問「総理が我々のYouTubeを見ていた」」(音楽ナタリー)という話が報じられ、少し残念な気分にさせられた。何故なら、5/3の投稿「「#自民党2019」プロジェクトのキナ臭さ」や5/25の投稿「誇ることのない自民政権 + それでも支持する有権者 = 暗い日本の未来」で批判した、自民党やその総裁である安倍首相が力を入れているイメージ性重視のキャンペーンに利用された、というかまんまと乗っかったように見えたからだ。パンクやハードコアは必ずしも反体制でなくてはならないということではないが、どちらのジャンルも元来は、国家権力とは限らないが反権力が背景にある音楽のジャンルだし、とても曖昧な表現だが「ロックじゃない」ように思えた。
 すると、タイミングを同じくして彼らが過去にこんなツイートをしているという指摘があった。
2012年は、尖閣諸島をめぐり、香港活動家尖閣諸島上陸事件尖閣諸島国有化(Wikipedia)などがあった。その影響で、中国本土の一部で反日デモが起きたのは事実だが、それでも流石に「反日なのは中国で、台湾は親日!」なんてのは余りにも極端過ぎる。親日家の中国人もいれば反日家の台湾人だっている。
 このツイートを引用して「こんなネトウヨ的なことを言う奴らだからアベが重用したんだ」みたいなことを言っている人もいたが、流石に真偽も定かでないのに憶測でそんなことを言うのは、「反日なのは中国で、台湾は親日」と決めつけるのと似たり寄ったりで、ミイラ取りがミイラになるを地で行く主張としか思えなかったが、それは別としても彼らへの興味は急速に萎んでしまった。


 過去の差別的・偏見染みた主張が後に取り沙汰されることは割合よくある。特にこの10年くらいの間でSNSと撮影機材が急速に普及・進化・一般化した為、無名な頃の主張であっても可視化されやすくなっている。
 最近で言えば、長谷川 豊氏の差別的な発言(毎日新聞「差別発言 元フジアナの長谷川豊氏が差別発言 参院選擁立予定の維新は処分検討」)も、実際に発言が行われたのは今年・2019年の2月だそうだが、注目されたのは5月になってからだったし、2018年7/29の投稿「責任と処分のバランス、メディアがもたらす影響」で触れた事案も、連載を獲得した若手漫画家の過去のSNS投稿に関する話だった。また、2018年11/27の投稿「未熟な者のSNSへの不適切な投稿でも、「若気の至り」では済まない理由」で触れた件は少し毛色が異なり、初当選した青森市議が、バレないと思って匿名でSNSへ差別的な投稿をしていたという件だったが、類似案件と言えるだろう。
 長谷川氏や青森市議のように、現在進行形で差別や偏見を撒き散らす行為は、しかもそれを政治家や政治家を目指す者がやっているなんてのは言語道断で、情状酌量の余地など全くない。長谷川氏に関しては、5/22に自身のブログへ「現在、一部ネットで拡散されている動画について全面的に謝罪致します」という投稿をしたにもかかわらず、6/10の投稿「全ての皆様に心からの感謝を」では再び、
3週間ほど前のことだったでしょうか。ネット上で50秒ほどの動画が出回りました。
「長谷川が部落差別を助長する発言をしている」
バカバカしい。
参院選まで半年を切って、細心の注意を払っている状態で、どこの誰がそんな馬鹿なことするんだか。しかも違法にアップロードされた動画で、違法で切り取られた動画。犯罪じゃん、そんなの(苦笑)。
と言いだした。つまり5/22の投稿での謝罪は単なるスタンスで、どうにか維新の公認を繋ぎとめる為だけに示したスタンスに過ぎなかったと自ら白状したようなものだ。
 彼のような人物を見ると、言葉は悪いが「バカは死んでも直らない」という話は本当で、「誤解を招き申し訳ない」風の謝罪はスタンスだけ、撤回も「撤回しておけばいいんでしょ?」的な気持ちの現れでしかないという認識を強めてしまう。勿論、中にはホントに「してはならない事をした」と思って謝罪撤回する人もいるんだろうが、ならば「誤解を招いた」なんて言わずに自分の言った事が間違っていたと認めるだろうし、言ったことは撤回しようがなかった事にはならないので、必ずしも撤回することが誠意でもないと感じる。もし本当に誤解だと思っているのなら、撤回などせずに丁寧に説明して理解を求めるのが自然なのではないか。


 衆参合わせて2か月以上も予算委員会の開催を与党が拒んでいる状況で、ひさびさに、与党総裁でもある首相に対する質疑が行われた昨日の参院決算委員会を見ていて、そんなことが頭に浮かんできた。
 昨日の委員会では当然の如く、6/3に金融庁が、95歳まで生きるには夫婦で年金以外に約2000万円の資産が必要になるとの試算を示し(日経新聞「人生100年時代、2000万円が不足 金融庁が報告書」)、麻生財務大臣が
 100まで生きる前提で退職金って計算してみたことあるか?普通の人はないよ。そういったことを考えて、きちんとしたものを今のうちから考えておかないかんのですよ
と述べた(テレ朝ニュース「退職後2000万円不足も 麻生大臣 資産形成考えて…」)ことなどが大きく取り沙汰された。
 安倍首相は、95歳まで生きるには夫婦で2000万円の蓄えが必要とする金融庁の試算に関して、「不正確であり、誤解を与えるものだった」と述べたそうだ(産経新聞「「老後2000万円貯蓄」で国会紛糾 首相「誤解与えた」」)。自分達が示した試算が不正確と認めたということは、そもそも彼ら・つまり現政権にはまともにデータをまとめ、そこから考察する資質に欠けていると認めたということだ。それは「イージスアショア」の配備候補地の選定に関して、ずさんなデータを作成していたこと(BuzzFeed Japan「防衛省、イージス・アショアでずさんな調査 説明会で居眠り、住民激怒」)からも明らかだ。厳密に言えば、年金に関しては金融庁が、イージスアショアに関しては防衛省が不適切なデータのとりまとめをしたのかもしれないが、自衛隊の日報隠蔽以来、各省庁で改ざん捏造隠蔽不適切廃棄が頻発しており、行政府のトップは内閣で、その頂点にいるのが内閣総理大臣なのだから、管理者としての責任を問われるのは当然の事だ。しかも、金融庁を監督する立場の麻生財務大臣は「「老後に2000万円不足」の報告書、麻生財務相「全体は読んでない」」(BuzzFeed Japan)という状況である。懸案の報告書に目も通さず一体何を議論しようというのか全く理解に苦しむ。安倍氏の言う適材適所とは何のことを言っているのか。

 麻生氏の横柄さ加減と安倍氏の嘘は広がりを見せるばかりとしか言いようがない。麻生氏がなぜ放言を難解も繰り返すのかに関しては、2018年12/12の投稿で、
麻生太郎(78歳)は脳のブレーキがきかなくなっているから
という話を、NHKの人気バラエティ「チコちゃんに叱られる」で紹介された話に交えて書いた。安倍氏の嘘についても、なぜ彼が嘘を軽々とつくのかを説明できる話を、AFPが2016年10月に掲載していた。「「うそをつくほど平気に」、不正直に脳が適応 研究」 によれば、
 税金のごまかしや、恋人への裏切りなど何であれ、小さなうそをつくと、それがエスカレートして大きなうそに発展しやすくなる
のだそう。 つまり安倍氏が嘘を何度も繰り返すのは、
安倍晋三(64歳)は不正直に脳が適応してしまっているから
という事のようだ。因みに4/2の投稿「4/1だけでなく年中エイプリルフールの国になっている日本」では、今年・2019年の第1四半期までの、現政権・現首相にまつわる嘘をまとめている。


 昨日は、1編成を「はたらく言葉たち」という書籍から抜粋したメッセージ広告で埋めた「ハタコトレイン」という阪急電鉄のキャンペーンが注目を集めていた(毎日新聞「阪急電鉄「働き方啓蒙」中づり広告「月50万円」に「不愉快だ」など批判、掲示とりやめ」)。用いられたメッセージは「はたらく言葉たち」というサイトでも確認できるのだが、どれもあまり共感できるものではない。
 阪急の件で特に槍玉に上がったのは、

毎月50万円もらって毎日
生き甲斐のない生活を送るか、
30万円だけど仕事に行くのが楽しみで
仕方ないという生活と、
どっちがいいか。
というあまりにも浮世離れした話だった。毎月50万程度の収入があれば、生き甲斐など仕事以外でいくらでも見つけられそうだし、そもそも30万以下の給与で、且つ苦痛に耐える必要のある仕事を仕方なくしている人も、今の日本には大勢いるのに、よくもこんなメッセージを「はたらく言葉」なんて括りで紹介して共感してもらえると思ったものだとしか言いようがない。
 自分はこの1件を目の当たりにして即座に、カップ麺1つ400円と言った首相(AFP「「カップめんは1個400円くらい?」、麻生首相が答弁」)と、パート妻の月収25万円と言った首相(ハフポスト「安倍首相、妻がパートで働き始めたら「月収25万円」 例え話が波紋」)の2人を思い出した。誰もが知っているように、現政権のNo.1,2がこの2人である。こんな2人だからこそ、金融庁の95歳まで生きるには夫婦で年金以外に約2000万円の資産が必要になるという試算を恥ずかしげもなく堂々と、そのまま発表できるのだろう。彼らに庶民の感覚など全くなく、勿論それを理解する気もない。だから庶民の生活よりも大企業を優遇した政策ばかり進めており、法人税よりも消費税を上げようという方針を、この現状を見ても変えようとしないのだろう。というか寧ろ彼らには現状など見えていないのだろう。都合の悪いことは目に入れないようにしているのだろう。それは昨日の決算委員会での答弁からも明らかだ。




 改めて強調するが、彼らが「年金などあてにせず老後の為に2000万貯めろ」と言うのも決して不思議なことではない。今の政権のトップは

カップ麺1つ400円

パート妻の月収25万円


などと平然と言ってのける2人である。彼らがどこを向いて政権・国会運営を行っているか、逆言えば、彼らが如何に国民を軽視しているかは誰の目にも明らかだ。

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