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差別禁止は都合が悪い自民党

 トップ画像はコラージュであり、実際の自民党本部を撮影したものではない。しかし、実際にはこのような状態であるが、それを濁しているに過ぎない。それが垣間見える話が昨日報じられた。

自民、LGBT法案了承を先送り 保守派から異論相次ぐ:東京新聞 TOKYO Web

 自民党の性的指向・性自認に関する特命委員会は5/20に党本部で会合を開き、与野党の実務者協議で合意したLGBT等性的少数者への理解増進を図る法案に関し議論したが、保守派から異論が相次ぎ、了承を先送りした、という記事である。
 これは共同通信の配信記事で、東京新聞にはこの件に関しする記事は、これしか掲載されていない。記事には「保守派から異論が相次ぎ、了承を先送り」とある。この記事だけでは分からないだろうが、異論を示したのは保守派なのか。自分には保守派でもなんでもない単なる差別主義者にしか思えない。「思えない」という表現では、あくまで個人の主観になってしまうが、そう断言してよいレベルである。


 LGBT等性的少数者への理解増進を図る法案に異論を示して反対したのは、保守派ではなく差別主義者である、と言える理由は、TBSのこの記事にある。

「いろんな副作用も」LGBT理解増進法案 自民部会で紛糾 了承見送り|TBS NEWS

 LGBT等性的少数者への理解増進を図る法案は、差別解消を明確に打ち出すよう求める立憲民主党に自民党側が配慮し、法案の目的と基本理念の部分に「差別は許されない」との文言を追加する修正がなされた。それに関する自民党内での議論について(議論と呼べるような内容ですらないが)、記事本文にはこうある。

「法を盾に裁判が乱発する」との意見が相次いだほか、「道徳的にLGBTは認められない」「人間は生物学上、種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背くもの」などの声も上がり、法案に反対する議員が大勢を占めた

この数年で、政治家から何度このような不見識、差別的な見解が示され、その度に謝罪や撤回に追い込まれてきたことだろうか。記憶に新しいのは、昨年・2020年10月の自民党所属の足立区議の件である。

LやGが足立区に完全に広まってしまったら、子どもは1人も生まれない LもGも法律で守られているという話になっては足立区は滅んでしまう

という発言が、自民党の区議 白石 正輝によってなされた(2020年10/5の投稿)。しかも区議会で。また同じ時期に、春日部でも市議が同種の蔑視発言をしていたことが報じられていた(2020年10/30の投稿)。
 そして何よりも、自民党所属の国会議員 杉田が、2018年に月刊誌・新潮45へ「「LGBT」支援の度が過ぎる」という見出しのコラムを寄稿し、その中で

子供を作らないLGBTカップルは『生産性』がないので税金を使って支援する必要はない

と主張し、強い非難に晒されたことも、まだまだ多くの人が覚えているだろう(2018年7/23の投稿)。幹事長の二階が「人それぞれ政治的立場、いろんな人生観、考えがある。 右から左まで各方面の人が集まって自民党は成り立っている。そういう発言だと理解」という容認発言をしていたし、(2018年7/25の投稿)、当時杉田の差別的主張を擁護する自民党政治家が大勢いた2018年8/1の投稿2018年8/3の投稿)。
 因みに杉田は、前述の足立区議の件の直前にも女性蔑視発言をやり、しかも追求されると嘘をついて逃げ回るということもやっている(2020年9/30の投稿)。

 足立区議の件の際に、自民党の参院幹事長 世耕は、

今回が最後だ。何回も繰り返している、次は絶対に認めない

と言っていたが、同じことが再び繰り返された。しかも地方議員ではなく国会議員によって。そういうことなのだから、自民党はトップ画像のような状態であると言っても過言ではない。幹事長が次は認めないと言っていたのだから、相応の処分が下されるだろうか。いや自民党に限ってそんなことは全く期待できない。彼らは何から何までその場しのぎ、口から出まかせ、美辞麗句のオンパレードだ。


 東京新聞のように、全く消極的な報道しかしていないメディアも少なくない中で、差別的な発言を取り上げたTBSの記事は評価すべきかもしれない。だが決して、TBSの記事も手放しで評価できる内容ではない。TBSは同じ件に関してこんな記事も掲載している。

【ノーカット】山谷えり子議員コメント LGBT理解増進法案に慎重な意見|TBS NEWS

 この記事でも前述の記事でも、「慎重な意見も相次ぎ」という表現が用いられており、こちらでは見出しにもなっている。

  • (LGBT差別を禁止する法が出来たら)法を盾に裁判が乱発する
  • 道徳的にLGBTは認められない
  • 人間は生物学上、種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背くもの

の、一体何が、どこが、慎重な意見なのか。どう考えても、常軌を逸した意見、血迷った見解、旧態依然の認識、浅はかな差別的主張、などが適切だろう。それともこれらは少数派で、他にもっと合理的な主張や意見があったのか。そうだったのにそれらばかりを強調しているなら、事実と乖離した印象を演出していることになる。
 しかしTBSの前述の記事では、そのような意見があり法案に反対する議員が大勢を占めた、としている。つまり恐らく、この種のとんでもない話が大半を占めていたのだろう。にも関わらずTBSは、そのような主張を「慎重な意見」としているのだ。

 それではTBSも自民党と大差ないとしか言えない。だから与党や政府だけでなく、メディア、特にテレビは信用できない、という思いが強まってしまうのだ。


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