以前ジャニーズのアイドルグループに所属していた芸能人・田口 淳之介さんと、内縁関係にあったなどと報じられている元女優・小嶺 麗奈さんが、5/22に乾燥大麻を所持していたとして逮捕された(BuzzFeed Japan)。一昨日・昨日(5/22-23)テレビは、ワイドショーだけでなく所謂ニュース番組でもこぞってこの件を取り上げた。ツイッターの自分のタイムラインに、元AKB48・秋元 才加さんのこんなツイートが流れてきた。
秋元さんが何を暗示してこうツイートしたかは明確ではない。 しかし自分は前述の件に関して秋元さんと同じことを感じていたので、つまりそういうことなんだろうとしか思えなかった。もうわかったから、世界情勢とか今日本がどうなってるかとかに時間割いて欲しい。— 秋元才加 SAYAKA AKIMOTO (@akimotooo726) May 23, 2019
テレビ見たいのに見たくない。
芸能人の薬物事犯と言えば、3月に逮捕されたピエール瀧さんの事案が記憶に新しく、当時自分は関連する投稿
- 連帯責任の無意味さとサブスクリプションサービスの危うさ(3/16)
- 平成も終わろうというのに、昭和の感覚を未だに引きずるフジテレビ・テレビ報道全般の残念さ加減(3/23)
- 新潮45の二の舞が懸念されるフジテレビ、薬物使用=即依存症という誤解(3/31)
- 続・薬物使用=即依存症という誤解について(4/1)
- 思考停止に陥る首相と政府(4/23)
- 警察最大の不祥事とピエール瀧の不祥事、そして現政権の不祥事(4/25)
- 「大麻を吸って○○してみた」「ちょっとテンションが高いくらいで別に何も変なことが起こらなかった」(5/7)
BuzzFeed Japanは昨日・5/23に「田口淳之介容疑者の移送を上空から撮影…「過剰な薬物報道」はいつまで続くのか」という記事を掲載している。端的に言えば「回復しようと頑張る人の足を、報道が引っ張っているのでは」という内容の記事だ。3/31の投稿や4/1の投稿で書いたように、薬物事犯の全てが依存症ではないので、この記事の認識も自分は適切とは思えないものの、一般人の薬物事犯については、販売目的や大量所持でもない限り取り上げないのに、芸能人に薬物事犯の疑いがかかると、凶悪犯罪か何かを犯したかの如く、鬼の首をとったかのように大騒ぎし始める日本の多くのメディアよりは幾分マシで、理性的と言える内容だろう。
今回の件に関して、レコード会社等コンテンツ産業が過剰自粛の姿勢を見せていないのは、ピエール瀧さんの件に学んだ結果なのだろうが、テレビ業界は結局ピエール瀧さんの件から何も学ばなかったのだろうとしか言えない。
- 若年層を軽視するテレビ業界と、少子高齢化を軽視し続けた日本社会の共通点(5/1)
- 「飛翔体」「容疑者」などメディアが用いる表現について(5/10)
- NHK、自ら不信を煽る(5/17)
テレビでは、ワイドショー系・ニュース番組系を問わず、一部アナウンサーやコメンテーターらが、専門家面でゲートウェイドラッグについて語る。単なる誰かの受け売りなのだろうが、彼らはテキーラ等のハードリカーをどう考えているのか。あれも確実にゲートウェイドラッグの一種だ。法で認められているか否かの差でしかない。法で認められるとゲートウェイではなく、認められなければゲートウェイにはならない、なんてことはない。ハードリカーの多くには、多くの大麻よりも確実に強い酩酊作用がある。彼らの多くは、吸引経験は当然のこと、合法地域で大麻カルチャーに触れた経験すらなく、恐らくそんなことは想像もできないのだろう。ハッキリ言ってそれで専門家面で語るなと言ってやりたい。
彼らは「法律で決められているのだからやってはいけない」とも語る。確かにその通りで、現在日本で大麻を所持したり吸引するべきではない。しかし彼らの一部は一方で、大麻同様に法で認められていない同性婚の法制化を求める声には肯定的だ。ゲートウェイ理論を振りかざすというのは、「同性婚は性や家族観の乱れに繋がる」なんて言っている人達と大して変わらないということだ。その辺の整合性に彼らはどうように折り合いをつけているのだろうか。
また、こんなツイートもタイムラインに流れてきた。
このツイートが言っているのは、「経産省内で覚せい剤使用か=逮捕官僚の机から注射器-警視庁」(時事通信)よりも、田口さん・小嶺さんの大麻所持の件の方がメディアでの扱いが明らかに大きいのは何故なのか、ということである。私、芸能人が「大麻」を「自宅」でこっそり吸引していたというニュースよりも、我々の血税から給料が支払われてる経産省キャリアが「覚醒剤」を「勤務中」に、「官庁のトイレ」で「机の引き出し」から注射器出して打ってたニュースの方が、何倍も衝撃が大きかったし、詳細を知りたいんですが。— はな (@hanakija38) May 22, 2019
メディアが、業界関係者の犯罪について、その他の人のそれよりも大きく取り上げる傾向であることは知っているし、他者を報じる立場のメディアが身内に甘いと言われることがないように、そんな傾向にあるのだろうから、それはある程度合理性のあることだと感じられる。しかし、もしそうならば、既に芸能事務所にも所属しておらず、殆ど芸能活動をしていない小嶺さんについては、一般人と同様の扱いをするべきではないのか。メディアは複数の者が関わった事件の場合、特に過失や責任の割合が大きい者だけを映像と実名で報じ、他男性○○名などとする場合がよくある。ならば田口さん他女性1名としてもよかったのではないのか。勿論後で分かりそうなものだが、メディアが率先して報じる必要があったのか、個人的には疑問に思う。
また、確かに経産省職員は業界関係者ではないが、前述のツイートが指摘しているように、省内で覚醒剤を使用した疑いがある事などを勘案すれば、芸能人の大麻所持よりも確実に注目すべき話だ。今の報道の分量ではバランス感覚に欠けていると指摘されても仕方ない。
そんな点からも、
メディア、特にテレビは自ら不信を招いている
と再確認させられてしまう。既存メディアが信頼を失えば、その分いかがわしい所謂フェイクニュースが幅を利かせる余地が生まれてしまう。
- 「飛翔体」「容疑者」などメディアが用いる表現について(5/10)
- 「大学無償化法」という嘘をつくメディア各社(5/11)
- MXテレビ・モーニングクロスは信用に足る番組か(5/21)
5/26追記
田口淳之介の逮捕に伴う対応につきまして - UNIVERSAL MUSIC JAPAN
レコード会社等コンテンツ産業が過剰自粛の姿勢を見せていないのは、ピエール瀧さんの件に学んだ結果なのだろうが、と書いたが、そうではなかったようだ。