スキップしてメイン コンテンツに移動
 

NHKの光と闇、NHK報道に感じる不信


 このブログではこれまでに、テレビ受信機を所有するだけで視聴料を半強制的に徴収する側面のある、ある意味で視聴者が株主でもあるような公共放送局・NHKの不適切な面について指摘してきた。
などがそれに当たる。中には組織的な不適切さではなく、記者やディレクター等個人の認識不足、間違った認識による不適切さもあるだろうが、そんな不適切な記事・報道がチェックをすり抜けているという視点で考えれば、それらも組織的な不適切さと言えるかもしれない。
 一応注釈しておくが、ここでは「不適切さ」とはあくまで自分から見ての話しであり、「不適切」だという事が誰の目にも明らかであるという意味合いで「不適切さ」という表現を用いてはいない。


 しかし11/2の投稿「NHKの果たすべき役割」で書いたように、NHK全体に不適切な傾向が蔓延しているとも言い難い。11/2の投稿で取り上げたのはNHK eテレ(教育:2ch)で放送している「アクティブ10 公民」という番組で、この番組は10分尺の教育番組という体裁でありながら、実質的には現在の社会問題、特に政治分野に強く踏み込んだ異色の報道系番組のようにも見える。11/2の投稿では「“人権”ってなんだ?」という基本的人権の解釈・範囲・重要性をテーマにした回を取り上げたが、11/27深夜放送の最新回「政治に声を届けるには?」も是非多くの人に見てもらいたい回だった。
 当該回は番組Webサイトで閲覧可能なのだが、NHKはWebページを削除するペースが他のメディアに比べても早く、番組の放送期間が終わったら当該番組が閲覧できなくなる恐れがある。NHKの番組は自分を含めた視聴者が支払う視聴料で成り立っているという点を勘案し、著作権的に問題のある行為かもしれないが、11/2の投稿で「“人権”ってなんだ?」の回を直接添付したのと同様に、今回は「政治に声を届けるには?」の回を直接ここに貼る事にする。少しでも多くの人にこの番組を見て欲しい。


 この回の重要な事は番組内で語られた「 選挙に行かないと、何でそんな法律が?何故あの人が議員に?なんて後で後悔しちゃうかも」というセリフ、エアコン設置を陳情した中学生が示した「政治って反映されるんだなって、結構身近に感じました」というコメントに凝縮されていると思う。11/28の投稿「自公維の議員たちは、特殊詐欺に騙されるタイプ」の結論部分で書いた、
 民主的なプロセスで成立した政権であっても国民がそれへの監視を怠れば、中国共産党やナチスのように一党独裁状態に変質する恐れは充分にある。独裁政権が成立してしまえば国民への口封じが始まるだろうから、独裁政権が成立してから気付いても遅い。そうならないように常に権力を監視することが、国を愛する者、国の行く末を憂慮する者の努めではないだろうか。
という話ともかなり重なる。「“人権”ってなんだ?」の回がWeb上・実社会で未だ横行する偏見・差別や、トランプ米大統領や国会議員・自民党杉田氏を始めとして、差別・偏見を厭わない傾向にある議員・政治家が増えている事などを憂慮した内容だったのと同様に、「政治に声を届けるには?」の回も、国民の政治参加意識低下が現政権・与党による強引な国会運営等を招いている、要するに政治参加意識の低下は自分たちの首を絞めることになりかねないという強い懸念が込められた内容だったように思えた。
 自分たちが支払った視聴料でNHKがこのような番組を制作し放送してくれるのはとてもありがたい。いや、本来はありがたいではなく、それは視聴料を半強制的に徴収するNHKの責務だろう。

 しかし一方で、相変わらずNHKの報道姿勢には不満を抱かざるを得ない。20カ国・地域首脳会議、所謂G20サミットが12/1(日本時間)に開幕し、今回はアルゼンチンに各国首脳が一堂に会している。NHKニュースはこれに関する記事「G20 安倍首相 自由貿易推進の首脳宣言へ調整」を12/1の昼頃掲載した(NHKはかなり早く記事を削除するので投稿の最後にスクリーンショットを付けておく)。記事では、安倍首相は世界経済への深刻なリスクだと訴え、トランプ大統領、習近平国家主席に直接、建設的な対応を促した、と伝えている。確かに彼が米中両首脳に経済的な対立はリスクであるという旨の発言をしたのは事実かもしれないが、彼が両首脳に対して具体的に何と言ったのか、どのような表現でその旨を伝えたのかに関する話は記事中に一切なく、また、米中両首脳がどの程度聞く耳を持ったのかも定かではなく、自分の目には、単に軽くその話題に触れただけの恐れもあるのに、NHKニュースが、まるで安倍首相がG20に残された最後の良心であるかのように、若しくは安倍首相が2つの超大国首脳を諫めたかのようなニュアンスを過剰に強調しているようにも感じられた。そうでないなら、その恐れを払拭できるように、もっと出来るだけ詳しく会談内容を伝えるべきではないだろうか。このような記事では、記者は会談内容を精査せず、関係者からのリークをそのまま伝えているだけ、つまり報道記事でなく政府広報記事をNHKが掲載しているだけという懸念を感じてしまう。
 10/1の投稿「NHKへの不信感」でも触れたように、NHKでは、森友学園問題について積極的に取材し、「近畿財務局が国有地売却前に森友学園側から、支払える上限額を聞き出し、その金額以下で売った」というスクープを取ってきた記者に対して、報道局幹部が「なぜこのニュースを報じたのか」などと断じ、彼を左遷するという事案が起きている。このような事を勘案すれば、NHKの政権絡みの報道、特に政権を称讃する要素が含まれる報道は、大本営発表のようなものである疑いが拭えない
 G20の件について、他の国内外メディアの傾向を見てみたが、この投稿を書いた時点では、日経新聞が「G20討議初日 安倍首相、貿易摩擦は「深刻なリスク」」という、やや近い論調の記事を書いているぐらいしか、NHKと同じ様な傾向の記事は見当たらなかった。しかもその日経の記事もNHKの記事程には首相側の視点に立った論調ではない。

 この投稿を書くにあたって、冒頭で挙げたNHK絡みの過去の投稿を読み返してみたが、それで感じたのは、NHK全体に不適切な傾向があるのではなく、NHKニュース・報道に関する部署が何かしらの問題を抱えているのではないか、ということだ。NHKは日本を代表する公共放送であり、他局、他メディアと比較してもその報道の影響力は大きい。そんなメディアの報道に、しかも視聴料を半強制的に徴収する機関なのに問題を抱えているようなら、見過ごすことなど絶対に出来ない。こんな状態が続くようであれば、視聴料支払いをボイコットするような動きにもつながりかねないと憂慮する。


G20 安倍首相 自由貿易推進の首脳宣言へ調整

 

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。