今の安倍自民政権が嘘で塗り固められている事については、4/2の投稿「4/1だけでなく年中エイプリルフールの国になっている日本」で指摘したし、その中には、
現政権・自民党は女性活躍・多様性の尊重を掲げているのに、それを促進する制度の実現には消極的ということに関することもいくつか含まれていた。 また他にも、現政権・自民党の「言ってることとやってることが正反対」な事案はいくつかある。例えば、2018年12/15の投稿「自民党は「少子化を解決する気も多様性を尊重する気もない」」で書いた少子化対策に関する話もそうだし、 3/21の投稿「復興五輪という、美辞麗句・羊頭狗肉の看板」で書いたように、東京オリンピックを「復興五輪」と位置付けていることも欺瞞に満ちている。沖縄県民に寄り添う・真摯に受け止めるなどと言いつつ、県知事選/県民投票結果を無視し続けているのもその最たる例だろう。また、「女性活躍」「すべての女性が輝く社会づくり」というスローガンを掲げている党所属の大臣が、女性にハイヒールやパンプスを強制する職場があることについて、「社会通念に照らして業務上必要かつ相当な範囲」と述べたということも、6/6の投稿「「女性活躍・すべての女性が輝く社会づくり」と言っているのはどの政権?」で書いた。
この「言ってることとやってることが正反対」な傾向は、6/19に都議会で選択的夫婦別姓の法制化を求める請願が賛成多数で可決されたが、自民党だけが反対したこと(弁護士ドットコム「都議会、選択的夫婦別姓の法制化求める請願を賛成多数で可決 反対は自民だけ」)や、茨城県が同性カップルについて公的に認める制度の導入を目指していたが、自民党が「同性のカップルについて公的に認める制度の導入は時期尚早」という見解を6/19に示した(NHK「「同性カップル制度は時期尚早」」)という件にも如実に反映されている。
6/12の投稿「自民党は「みんなはどんな世の中にしたい?」を聞いてくれるのか」 で、そんな羊頭狗肉・美辞麗句の看板ばかり掲げている政権・政党が、果たして有権者の声をまともに聞いてくれるだろうか、そうとは到底思えない」ということについて、ファッション誌ViViが #自民党2019 というハッシュタグを用いて「みんなはどんな世の中にしたい?」と呼びかけたことで大きな波紋を呼んだ、抽選でTシャツ(自民党ロゴ入り)をプレゼントするというキャンペーンに関連して書いた。批判を浴びたからなのか、これに関するSNS投稿をViViは既に削除しているし、キャンペーンに関するWebページも削除されている。批判を浴びた程度で痕跡を消そうとしているのを見ると、ViViもキャンペーンに問題があったと判断したのだろう。問題はなかったという信念があるのなら、キャンペーンを中止する必要がまずないし、中止するにしても痕跡を消す必要はないだろう。
最早コントのネタのような気さえするが、このキャンペーンのプレゼント用のTシャツには、胸にデカデカと「Diversity(多様性)」と書かれたものまであった。
同党所属の杉田議員が「同性愛者には生産性がない」という見解を示したことに関して、党総裁が
人権が尊重され、多様性が尊重される社会を目指すのは当然だ。これは政府、与党の方針でもある多様性などと述べた(2018年8/3の投稿)にもかかわらず、相変わらず選択的夫婦別姓制度に反対、同性婚(もしくは同等の制度)の法的容認にも消極的、更には6/18の投稿「男系男子による皇位継承に拘ることで生じるいくつもの矛盾」でも書いたように、男女平等を重んじるという時代の潮流に即しているのは明らかに女性天皇/女性宮家の容認・創設なのにもかかわらず、到底合理的とは言えない主張でただただ「伝統」に固執し、未だに女系天皇につながりかねないとして「女性宮家」の創設に反対(朝日新聞「「女性宮家」創設に反対 日本会議国会議員懇談会が方針」)している議員が50人もいる党(一部は維新だが、その大半は自民党議員)が、一体どの口で「多様性」だなんて言うのか。
しかし不思議なのは、そんな党による政権の支持率が未だに48%もあり、支持しないの32%を上回っているということだ。この数字はNHKが6/11に行った世論調査の結果だが、同時期に行われた他の調査でも同様の傾向が示されていて、「NHKの調査は偏っており正常ではない」とは言えなさそうである。
NHKの6/11の世論調査では、ここで挙げた
- 日米貿易交渉 日本側の主張は守られると思うか
- 安倍首相イラク訪問で緊張緩和につながるか
- 消費税10%引き上げへの賛否
- 景気回復は続いていると思うか
- 衆参同日選挙への賛否
- ひきこもり支援 何が重要か
- 高齢ドライバー免許更新 厳しくすべきか
- レジ袋無料配布禁止への賛否
この世論調査がそれ程偏っているとは思えないとこの段の冒頭で書いたが、6/3に金融庁が公表した年金に関する報告書に関する話が既に大きな話題になっていたのにも関わらず、質問項目にそれに関する設問がないことには疑問を感じざるを得ない。どんな意図からそうなったのかは定かでないが、昨今のNHK政治報道の傾向から察するに、現政権・与党に忖度してその設問を含めなかった恐れがあるのでは?と考えてしまう。
ただ、年金に関する設問がこの調査に含まれていなくても、外交・景気という、現政権のウリと言われているような分野に関する設問への回答を見ても、軒並み現政権に対して懐疑的な回答が支持容認する方向の回答を上回っているのに、何故か政権を「支持しない」を「支持する」が上回っているという不可解な状況なのも興味深い。
しかも、支持の理由として多く上がったのは「他の内閣よりよさそう」「実行力があるから」なのだそうだ。勿論、この調査での設問以外にも現政権を支持する理由というのはありそうだが、それにしても、選挙の際に投票先を決める理由の1位に上がることの多い経済や、その経済とも密接に関わってくる外交に関する現政権の実績や政策に対してこれ程までに懐疑的な回答が多いのに、「支持しない」よりも「支持する」が多いのはとても奇妙だ。
他の世論調査でも軒並み同種の結果が出ているので、NHKだけが数字を操作しているということではなさそうだが、もしかしたら全てのメディアが結託して、若しくは同じ様な忖度をした結果、似たような不適切な調査結果が公表されているのかもしれないし、若しくは答えている国民の多くが矛盾を厭わずいい加減に答えている、若しくは設問の意味を正しく理解していないということかもしれない。
2018年12/21の投稿「2019年の参院選に向けて」や5/3の投稿「「#自民党2019」プロジェクトのキナ臭さ」で書いたように、現政権と自民党は確実に他の政党に比べてメディア戦略に長けている。但し、彼らが長けているのはメディア戦略だけ、つまり羊頭狗肉・美辞麗句を並べる情報戦略だけというのが、経済政策の結果の誇張が明らかになったことで露呈しているのが現状だ。厳しく言えば、嘘大袈裟紛らわしい広告で話題づくりに勤しむ企業のような政党が今の自民党、と言えるのではないか。そして世論調査の結果を見る限り、残念なことに多くの国民はその思惑にまんまと乗せられているようだし、メディアにも同様の傾向があるのが今の日本の状況のように思える。
日本は今少子化/超高齢化社会が深刻だが、そうなることは1980年代には既に指摘されいた。にもかかわらずこれまでの政権は具体的な抑止政策を行ってこなかったし、国民も指摘を直視せずに具体策を講じない政治を支持してきたから今の状況がある。年金の問題に関しても、目前の選挙を優先するあまりに、この期に及んで目を背けようとしているのが今の政権・自民党なのだが、もし万が一これでも自民党が選挙で勝利を納め、現政権が追認されるようなことになるならば、残念な事に日本という国はより一層没落していくことになるだろう。
個人的に成長を前提とした社会や政治は決して好ましいとは思えないが、現状維持を目指せば十中八九現状維持出来ずに状況が悪化するのが資本主義社会の現実だ。そして現状を直視できなければ現状維持はあり得ないのもまた事実である。
そもそもそんなこと以前に、6/20の投稿「重要なのは「政府が誠実に情報を発信するか」よりも「 政府が誠実に情報を発信すると国民が思っているか」」でも書いたように、
たとえ現政権が隠蔽・改竄・捏造・不適切な文書の廃棄・そもそも記録を残さない行為などの不祥事を主導していなかったのだとしても、それが現実に起きているというだけで、そんなことを許したというだけで、政権を運営する資質が著しく欠けていると言える。つまりその時点で「他の内閣よりよさそう」なんてのは強烈に愚かな判断としか言いようがない。このような不祥事が頻発する政権に「実行力がある」と言う人がいるのも不可解だ。決してそんなつもりはなく、何となくそう言っているだけなのだろうが、「隠蔽や改竄・捏造を実行する力がある」と言っているようにすら見えてしまう。