2001年(日本では翌2002年)に公開された「 es(エス) 」という映画がある。それはドイツの映画で、タイトルになっているesとは、ドイツ語で「それは」という意味なのだそう。ただ、この場合は精神分析学の用語で「 深層心理中の無意識の部分」の事のようだ。自分はこれまでにこの映画を何度か見ているが、公開直後に 渋谷の映画館で 初めて見た時は相当衝撃を受けた。 ドイツのある大学で、被験者が模擬刑務所で看守と囚人に分かれそれぞれの役割を演じながら2週間過ごすという設定で、実験の中で看守と囚人が対立を始めた結果、看守役らが暴走し始め、暴力的で凄惨な事件に至るという内容の映画で、全くのノンフィクションではなく、映画ならではの演出も含まれていたとは言え、過去にあった実際の実験・事件がモチーフになっていた映画だったからだ。